物語 「路地裏ノスタルジック」
一. 放課後
「裏路地みたいな少し感傷的になる場所ってどう思う?」
一つ上の図書委員の先輩が放課後の夕焼けを眺めながらそう言った。
「僕は別にどうも思いませんよ。でも、どんな裏路地なのかにもよりますけどね。」
僕はそんなの興味がなかったし、通学路は大通りしか通通らない。
「私は昔から少し狭くて通る人が少ない道に何か懐かしいものを感じるんだけど、わかってくれないみたいね。」
「ええ、まあ」
当然だ。興味がないものは仕方ない。
「じゃあさ、今みたいに教室に夕日が差し込ん