ごきげんの作り方
「真に洗練された優しさとは、ただ朗らかであること」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。いつぞやに僕が考えたものです。はい、きれいに忘れて下さい。
でも、こんなことはないでしょうか。
愚図つく感情が胸の内を蠢(うごめ)いて、ああ、なんやうまくいってへん流れみたいなもんにハマってる気がする。負のサイクルに取り込まれているような感覚がある。でもその理由がわからない。Mr.Childrenが歌うところの「この感情は何だろう、無性に腹が立つんだよ」に近いか。
自分にわかるのは「ただ不快である」ことだけ。もしこの状態に名前があって、その不快の原因がわかれば、せめてもの見通しが立ったりとか、うまく行けば対処法の一つでも考えられる分、楽になれるんではないのか。ああもうほんま何やねん。何キッカケイライラやねん!!
こんなことはありませんか。
何キッカケ、イライラやねん!
気持ちいいフレーズが出たら、それをそのまま次の見出しにするスタイルで行きます
ここまで読んだ人の中には、いやいや、そういうイライラの対処は、身近な友人に愚痴ったりして、気持ちのケアとか解決策の模索をするもんちゃう?と思うかもしれないけれど、ご生憎様です。僕はそれが上手に出来ないたち(照れ性&引っ込み思案)であることをご承知置きあれ!
それに今回は、そこにあるっぽいのはわかってるけど、実体が掴みきれない「理由なきイライラ」でもあるわけで。なんかちょっと最近ようわからんねやけどイライラするんよな、って話出来る?もうちょっと整理してから来て?ってなるよな、多分と。
もうちょっと整理してから来て?
てなわけで今回は、この日常にたまに登場しては、地味ながらもそれなりのウザさを誇る「これって何キッカケイライラなん?」に注目し、まずはそのセルフチェックが出来れば面白いかも、というところを起点に話を進めたい。
ただ、もしかしたらこういう類のお話は、最近ちょいちょい聞く、アンガーマネジメントや、マインドフルネスにおいては既知の領域だったりするのかもしれない。
誰かの頭で考えた大きなことより、自分の頭で考えた小さなこと。
つぶやいて先に進む。(ありがとう村上春樹)
セルフごきげんヘルスチェック
理由なきイライラポイントを探るにあたり、以下の「肉体」「関係」「変化」の3カテゴリーで捉える。(1)
■ 肉体
物事にはいちいち基礎がある。ごきげんにも基礎がある。まずは以下さらに3つの肉体ヘルスチェック(健康診断)を考えたい。
・睡眠は足りていますか?
・食事は適切 and/or コントロール出来ていますか?
・運動はしていますか?
この3つがいい感じなら、肉体はヘルシーなはず。精神面へのプラスの貢献は疑いようがない。でも、しっかり寝てるし、バランス良い食事も出来てるし、運動もきちんとしてるのに、理由なきイライラがあるなら、次に進め!
■ 関係
人間は間柄的存在である。和辻哲郎さんこんにちは。というわけで、自分の調子を考える時にも、間柄の向こう側である「つながる相手」からの影響を無視することは出来ない。健康な人でも、朝から10人に顔色が悪いね、と言われると本当に顔色が悪くなるとか、ならないとか。
この「つながる相手からの影響」の変動リスクを最小化するためには、その人的資産を分散させて、ポートフォリオを組めばいいんだね。言い方を変えると、依存からの脱却は、依存先を増やすこと。
そんなことを考えながら以下を考えてみる。
・人との繋がり(コミュニティ)はいくつかありますか?
・腹心の友とは喋っていますか?(もしいれば)
・恋人、家族に負い目はないですか?(もしいれば)
基本的には順不同だが、上ほど社会性の高い間柄、下ほど親密性が高い間柄になろうか。ヘルスチェックとしては、「その人を大切にしているだろうか、その人に大切にされているだろうか」という実感で測れるのではないだろうか。心が痛い。そして、次が最後の項目!
■ 変化
体調管理は大丈夫、人間関係にも問題は感じない。それでも何やらモヤモヤするぜ、イライラするぜ!そんな時のイライラのキッカケは「停滞感」にあるのではないだろうか。物事が(ないし自分が)期待した通りに、前進していない(動いていない)そんな時にはイライラするもんです。
・目指しているところはありますか?
・世界や可能性が広がるものに触れていますか?
・一歩でも前に進んでいる感覚はありますか?
個人的にはこのカテゴリで苦しむことが多い。「うっ」てなる。
自分で書いといて、泣きそうになるな。この質問は。
さて、上記の肉体・関係・変化の3カテゴリーが、僕のごきげんを支える3本柱であり、柱同士も互いに影響を与え合うものである。例えるなら、騎馬戦の騎馬のイメージ。「ごきげんな大将」を担ぐ「3人の騎馬」だ。
※イメージ図(イラストが書けたらいいのに)
正面の騎馬が「肉体」、右後ろが「関係」で、左後ろが「変化」かな。その3人の騎馬が、上の大将である「ごきげん」を担いでいる。騎馬が凹んでくると「ごきげん」も斜めになる。ただ、ひとつの騎馬が万全ではなかったとしても、他の騎馬でカバーも出来るのは好材料で、さらに大将がノッてくると騎馬の士気もあがる、そんな関係性。
このセルフチェックによって、「何キッカケ」のイライラかが特定できたらまずは上々で、腹落ちしたそれを問題と捉えれば、次のステップの足がかりになるかと思う。(2)
そして最終章。いざ、ごきげんの作り方へ。
ごきげんの作り方
まず、これはそんなに簡単なことじゃない。問題が発見出来ても解決されるまではスッキリしないだろうから。
内省に長けたる現代人なれば、多分にイライラの原因はわかっているが、それがうまく出来ないことにイライラしている場合もあるハズ。「わかってるけど出来ない」のは歯がゆいもの。
例えば「睡眠不足でイライラするけど、忙しくて休めなくて、ゆっくり眠れないから、睡眠不足なのだ」というように。
そんな個別具体の状況においては、人それぞれ違った、ごきげんを取り戻す方法もあるだろうと思う(3)ので、深入りはしないけれど、僕としては、上記の肉体・関係・変化のそれぞれは、すべて相互依存しながら影響を与えることから、直接的なアプローチだけでなく、相補的にカバーする手段もあることを指摘したいと思う。
「恋愛がうまくいってない時に、筋トレをする」とか、「目指すべきものがわからなくなった時に、実家に帰ってぐっすり眠る」とか。そんな風にしてイライラの淀みの周辺からも風通しを良くしてゆけるハズ。
そんな風に、あっちを直しつつこっちにも手を入れて、そんな綜合芸術的なバランスの上で、ごきげんは保たれる。それなりの手間暇をかけて「ごきげん」がキープされる。そうすると、どんないいことがあろうか。
「どんなことが起こるだろう、想像してみるんだよ」- Mr.Children
多分、ごきげんが保てている時には、自分なりにも、人生により多くの肯定的な意味や可能性を見つけたり、それを信じられる確率が上がる気がする。そして他の人に対しても、フェアな視点で物が言えたり、強みを見つけてあげたりとか、よい影響を与えられる状態になるのではないかと思う。そんな優しい人になれる気がする。
つまり「真に洗練された優しさとは、ただ朗らか(ごきげん)であること」ということになるだろう。
(以上)
補遺
1.『LIFE SHIFT』という本の内容(長寿化が進むほど、金銭的価値に代表される「有形資産」でなく、その土壌になる「無形資産」が重要)にいくらか関連するところがあるように感じて、チェックリストとの照合をしてみたが、まぁまぁぐらいだった。
参考)「無形資産」の3種類
・生産性資産:キャリアに活きるスキルや知識、仕事絡みのイケてる仲間
・活力資産:健康、家族、親密な友人との「自己再生のコミュニティ」
・変身資産:自己理解、多様性のあるネットワーク、可能性に開かれた姿勢
詳しくは、今ならここで要約が読めるのでご参考まで
2. このチェックでカバーしきれない、何キッカケか特定出来ない「イライラの素」に出会って、それが突き止められた時は、このnoteを適宜更新していくことにしたい。動的コンテンツ。
3. soarが現在やってる企画である「#わたしの回復じかん」など
よくぞここに辿り着き、最後までお読み下さいました。 またどこかでお目にかかれますように。