就職という地獄へ

就職活動を始めたタイミングで、リーマンショックが起きる。経済的な大打撃で、企業が採用自体をしないという状況。実は言うと安心した。就職しないのではなく出来ないという状況に。

やりたくない事をやらないで済む状況になったが、親は普通である事を求めて、常に会社で正社員になる事が幸せで、それ以外はあり得ない、そう小さい頃から言っていた。

だからこそ、大学を卒業してから、就職しない事をよく思っておらず、無理やり、親のつてで、就職させられた。地獄の始まり。

そこはとんでもないブラック企業で、年間休日が四十八日、消えていく残業時間、イジメに衛生環境の悪い職場。

でも辞めることができなかった。親から刷り込まれた、正社員で働くのが当たり前、という考え、それが退職を阻む。そうやって10年弱働いて、身も心もボロボロになって、初めて、親から退職の許可がおりた。ただし、次の仕事を決めてから。

このあたりまで、この異常な状況にずっと気づいていなかった。