見出し画像

華麗なパドルさばきで - ジェラット

今日は、各種意思決定論(結局似たことを言っているような気がしてなかなか覚えられない)の中から、ちょっと毛色が違う、経営コンサルタントのジェラッド(H.B.Gelatt)の理論を紹介します。

他のキャリコン勉強Blogで「晩年には」と言われてしまっているのを見かけたけど、実はまだご存命。1960-64年にスタンフォードの大学院にいたから推定70代、Blogもあります。勝手に殺さないで~!

画像1

目下キャリコンの試験に出てくる50名+の学者陣内、少なくとも15名は生きています(2019年現在)。キャリコンて、比較的新しいテーマなのね。

でも、他国の資格試験で取り上げられるほどなのでみんなシニアです(若いところで1946年生まれのキーガン「構造発達理論」、47年生まれのサビカス「ナラティブ・カウンセリング」あたり)。リスト見た養成学校の同期が「白髪メガネ率高すぎて、みんな同じ顔に見える」と言っていました。

で、本題に戻って、ジェラット。

彼の例え「昔のキャリア開発は登山、今時は急流下り」という言葉が、個人的に響きます。

わたしは自分の足で歩き続ければ必ず目的地に着く登山が好きです。フワフワな土、ゴツゴツな岩場、ツルツルな苔とか、地面はいろいろあるけれど、地図を片手に進み続ければいずれ、眺めの良い最高峰に到着します。

そしてわたしが3社経験してきた外資系IT企業のうち2社は、トップマネジメントが戦略(方向性)をシェアする会議のことをSummit(頂上転じて最高経営会議)と呼んでいました。

日本では登山って「孤高の人」(by新田次郎)の加藤文太郎みたいな、社会的はみ出しっ子の趣味という感じがしますが、海外ではビジネスエリートの趣味というイメージがあります。(個人的な感想です)この違いは同調圧力の高い日本文化の反映かなあ?

でも、時代は急激に変化しつつあります。

デジタル化とか、グローバル化とかの波が高くて先が読めない。昔のように「ゴールが決まっていて、ロールモデルがいて、そっちに行くべき方向がわかっている」感じではない。

だから、急流下り。猛スピードの筏に乗って。

岩とか滝とかが次々と現れる。もはや予測は通用しない。目的地に着くことではなく、常に柔軟なパドルさばきで進むプロセスにこそ意味がある。そのために必要な態度とは…

それを、「積極的不確実性(Positive Uncertainty)」だと、ジェラットは言います。つまり、

・情報は想像力をもって扱いなさい。しかし情報を想像してはいけません

・理解しなさい、しかし確信してはいけません

・合理的に選択しなさい、ただ無理な時は手放しなさい

これを初めて聞いたとき、自分が企業の中でビジネス・フォーキャストの仕事をしていた時に大事に思っていたことが綺麗に言語化されていると思いました。肚落ちするぞ!と。

上記の3つの原則は養成学校で教えてもらった言い回しですが、本来英語ではなんて言っているのかを調べたら、アップデートされたのが、4原則というのが出てきました。(疑っているのではなく、いいなと思うことはもっと深く知りたくて。)それもいいので、本文末に紹介します。

それもそのはず、ジェラットの意思決定プロセスは経済学の投資戦略理論を応用したものなのです。彼はキャリア・コンサルティングを「未来志向の創造的カウンセリング」であると位置づけています。

急流下りの時代には、右脳と左脳を共に駆使した「全能型アプローチ」で、常に学び続け成長し続けるものが生き残ります。

それって緊張感が抜けない。疲れちゃう。時には岩に激突して筏から放り出されちゃったりもする。満身創痍で一人で立ち上がれない事もあるかもしれない。そんな時は他者の力を借りられるといいよね。

だから、キャリアコンサルタントが国家資格になったんですね。

実務的には、ジェラットの「意思決定の体系的・段階的7プロセス」も、来談者と一緒に、本人がどこで意思決定に行き詰まっているのかを確認しながら進んでいくときに役立ちそうです。それは検索すれば他にもいろんなBlogが出てくるので、ここでは割愛します。

それより、こっちね。積極的不確実性の4原則。(Source

画像2

ではでは、

どなたさまも、ハッピーなライフキャリアを。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?