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いい天気

しとしと冷たい雨のふる、木曜日の朝。いつものように保育園に行くために玄関を出たヨーヨー、灰色の空を見上げて元気にこう言った。

「いい天気だね、ママ!」

とっさに、「いい天気っていうのは晴れの日にいう言葉だよ。」と教えてしまったけれど、晴れ=いい、雨=わるいというのは、考えてみれば、街暮らしの大人の都合による、失敬な価値付けでしかない。お気に入りの黄色いレインコート(町で売っているかわいいのでなくて、モンベルで買った山道具だが)に守られ、長靴でじゃぶじゃぶ水たまりをけちらし、傘はポツポツ楽しい音をたてる雨の日、それは、ヨーヨーにとってはいい天気の日。

日照りに苦しむ江戸時代の農民も、雨が降ったら「いい天気じゃあ〜!」って踊ったかもしれぬ。雨乞いのために、事前に踊ったらしいという話もある。

雨よ、雨よ、ありがとう。

洗濯物はたまるけど。東京は今日もいい天気。

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