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桃の節句

3月3日は、あーちゃんの初節句。

田舎の広い家でそだったわたしのは、15人フルキャストの七段雛だった。それで「自分のお雛様」が嬉しかった時代もあったのかもしれないが、長じてすっかりその気持ちは忘れてしまった。古い写真とおぼろげな記憶の中にそれはある。が、少なくとも反抗期に差し掛かったころからは飾られていなかった。

だから行き遅れた(三十過ぎまで独身を謳歌した)とは言わないが、毎年出さねば、いつまでに仕舞わねばと振り回されるのは嫌だし、マンション暮らしの収納は限られているし、そもそも人形というものがあまり好きでもない。好きでもないのに買うには雛人形は高い。ってわけで、やはり買うのはやめた。

女の子の健康を願う古来の節目、本来はそんなモノのあるなしではないはずなのだ。

愛だよね!とばかりに、お花をたくさん買って、苦手なお料理も頑張った。ちらし寿司、蛤汁、菜の花のお浸し、ローストビーフ、穴子のちらし寿司、そしてこの日のために作り方を習った、飾り寿司とイチゴ大福(表題写真)。どれもおいしくできた。あーちゃんは食べられないけど、食材の一部をすり潰して離乳食にした。

40歳過ぎまで料理全然ダメ!で通してきたわたしだが、毎日料理するようになったら、ここ半年くらいで急激に料理がちょっとはできるようになってきた。そろそろ、料理苦手意識は捨て時かな。

しかし、保育園で雛祭りの歌を教わってきたヨーヨーの方が「僕のお雛様は?」と何度も聞いてくるので閉口した。「お雛様は、女の子の日だよ。男の子のお祭りは5月だよ」と説明したら「男の子はお内裏様?5月って明日?」というとこから始まり、月の概念とか説明して(そんなの3歳児には難しいかもしれないのだが、適切なかわしかたがわからないので、カレンダーを見せて普通に教えた)、今や彼は男の子の日をすっかり楽しみにしちゃっているので、今年こそはついに小さくても、鯉のぼりを買うことになりそう。

人のかたちじゃないし、消耗品ぽいところが、鯉のぼりはお雛様よりハードルが低いよね。

でも…あと2~3年してお喋りできるようになったあーちゃんが「わたしのお雛様は?」とキラキラする目で聞いてきたら、わたしはフラフラ~っと買ってしまうのかもしれない。すぐに飽きられてしまうとしても。

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