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クラムボンの笑わない初夏

ヨーヨーと駒場にいったら、大学の裏門は固く鎖で閉ざされていて、正門も横の通用口から整備員さんに身分証明書を見せて要件を伝えないと通り抜けできないようになっていた。

小さい子連れの散歩には最高なのに、コロナめ。

駒場公園のケルネル田んぼは、コロナではなく稲を植え替えたばかりのために入れず。

自然観察舎はあいていて、かかりのお姉さんが生き物の取れるところを教えてくれたので小雨の中行ってみたら、お目当てのザリガニはいなかった(外来種で稲をいためるので、捕まえたら持ってきてくださいと言われた)けど、小さいオタマジャクシがたくさんいた。

大喜びで、あっというまに20匹ほどを捕まえるヨーヨー。

教えたわけでもないのに、優しく静かに救う手付きは、パパがメダカとドジョウの水槽の手入れをしているのを見て学んだのかな。

自然観察舎に戻って、オタマジャクシのオバキューみたいな顔や、透けたおなかを観察した。

捕まえた池は月末に清掃が入るのだそうで、アマガエルの子どもたちはどうなるのかと聞いたら、「さあ、多分流されてしまいますね。でも毎年そのサイクルで一定数が保たれていますから、それまでにカエルになってどこかにいくのかもしれません。」と、お姉さん。

家にカエルが増えても困るので予定通りキャッチ&リリースしたが、最近はカエルが激減しているんだそうだ。田んぼにいるヒキガエルも、公園のアマガエルも。

そういえば、故郷の町は護岸工事が進んで、私が子供の頃にはわんさかいて遊び相手になってくれたカニが、根こそぎ姿を消してしまった。

駒場の事情はそれとは違う、けれども、もしかしたら近年は雨のふり方も不規則で容赦ないから、つるつるしたカエルの卵や非力なおたまじゃくしは、急な増水で一掃されてしまうのかもしれない。気候変動。

その日の夜、お風呂でぼーっとしていたら、宮沢賢治の

 クラムボンは笑ったよ 

 クラムボンぷかぷか笑ったよ

 …クラムボンは死んだよ

の詩を思い出した。

あれは、豊かで包容力のある自然の水たまりの中に生きる、プランクトンや小さな生き物のあかちゃんたちの詩だったんだなと思った。

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