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食レポ「とくら」京都


京都の錦市場から堺町通を真っ直ぐ10分ほど歩くと美味しそうなソースの香りが鼻を刺激する。「とくら」だ。閉店時間近くに訪れたため来客は少なかったが、普段は店の前に人が沢山並ぶらしい。外国からの観光客もよく来るらしく、外国語のメニューまで用意している。店内は清潔感があり、落ち着いた雰囲気が厨房から溢れる香りとよく似合う。

私が頼んだのはチーズハンバーグだ。量を選べるようにしてあるのが親切で嬉しい。プレートは素朴で、チーズが乗ったハンバーグと茹でたニンジン、ポテトが盛り合わせてある。油っぽくないニンジンとポテトがお肉とソースを際立たせる。料理も物語と同じで、素敵な脇役がいるからこそ主人公がより輝ける。

運ばれてきたハンバーグを2つに割ると驚くほどの肉汁がプレートに広がった。個人的にはあれほどの肉汁は今まで見たことがない。みっちり握られたであろうハンバーグはとても柔らかく、口の中で肉汁を出しながら溶けていく。少し酸味の効いたデミグラスソースは、お肉の重さを消していくらでも食べられるような一口に仕上げる。もちろんチーズとの相性も抜群だ。ソースがしっかり染み込んだお肉と温かいお米を味わっていると、いつのまにかプレートの上は真っさらになっていた。飽きる隙もない。

ハンバーグは洋食だが、正確に言うと"日本独自"の洋食だ。当初はドイツから伝わったハンバーグを日本人の口に合うように改良したのが今のハンバーグステーキである。日本独自のハンバーグを歴史ある京都の街で食べられる。そんな幸せを他の人にも噛み締めてもらいたい。

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