LUNAウクレレについて

LUNAは1913年に日本で生まれたカマノ楽器元社長である鎌野福太郎しにより生み出されました。中学生の時代にウクレレを知った鎌野氏は戦後すぐの1945年に楽器問屋を起業し1953年に自社ブランドであるLUNAウクレレが誕生しました。ちなみに、ルナのブランド名は鎌野氏の「鳴る(ナル)楽器を作りたい」との思いから名付けられたそうです。現在のルナはもちろんですが、昔のルナも弾いたことはあるのですが、ともにその思いを体現した鳴る楽器でありました。

ウクレレの製造は当時の大手楽器製造会社でケンタッキーブランドを製造して有名であった春日楽器をはじめ複数のメーカーで製造されていました。しかし、その人気が高まるにつれ外注では供給がおぼつかなくなり、岡山に自社工場を設けて自社生産に踏み切ります。これが功を奏し、自社生産で品質管理も行き届きさらに高品質なウクレレを制作して、ピーク時には月産一万本を超える日本はもちろん世界でもトップのウクレレメーカーでありました。しかし、1965年ごろに世界中で巻き起こったエレキギターブームによりウクレレは完全に下火になり、1968年にはマーケットからLUNAブランドは姿を消しました。

そのブランドがキワヤ商会により復活するのは1993年まで待つことになります。キワヤ商会は皆様もお馴染みであるフェイマスウクレレの販売元ですが、フェイマスウクレレはブランド創始者である岡本良二氏が当時のトップブランドであるLUNAをお手本にして1955年に生まれました。そんなキワヤ商会のもとに鎌野氏よりブランドの譲渡の話が持ち込まれ、現在のルナブランドに繋がるのです。そのようなウクレレ界の偉大な先人たちの思いがこもったブランドですので、今後も大切にしていきたく思っております。

なお、この投稿を記すにあたり小林正己氏の「ウクレレ快読本」を参照させていただきました。この本もウクレレの歴史、特に日本でのウクレレ歴史について、演奏者、愛好家、そして楽器業界の視点から記されており、大変素晴らしい本であり貴重な資料になっています。新刊で入手は困難ですが、古本等で入手はできると思います。当店に置いてありますので、お越しの際はぜひ手に取ってご覧ください。それでは、LUNAウクレレをよろしくお願いいたします。

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