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夏の山奥で息子を成長させる宿 石川県 伝泊小松 大杉谷川に佇む囲炉裏の宿

息子の夏休みが始まった。私たち会社員も月曜に有休を取って、日曜から月曜にかけて小旅行にでかけることにした。行き先は石川県の小松だ。
今回はお目当ては、観光ではなくお宿である。山奥の川沿いにある夏らしい古民家を見つけたので、夏休みの思い出にピッタリだと思って予約してみた。

思い出を振り返りながら日記を書いていくと、とても満ち足りた気持ちになっていく。ステキな夏休みが始まっている。


1日目

おさむ(でか盛り)

今回の旅行は宿が目当てだったので、朝は9時過ぎにゆっくりと家を出た。
加賀に着いたのは12時頃。月うさぎの里というところに寄る予定だったけれど、娘が空腹に耐えきれず先に昼食を取ることにした。

おさむ

訪れたのはおさむという定食屋。でか盛りが人気なお店で、5組待ちだった。

からあげ定食(950円)
ラーメン・チャーハンセット(1,150円)

写真だと大きさが伝わらないけれど、唐揚げは大人の握りこぶしくらいの大きさがあった。
スーパーに売っている鶏もも肉をそのまま揚げているんじゃないかと思うくらいに大きかった。でかいだけじゃなくて、味も結構美味しかった。

でか盛りのお店は普段は行かないから、それだけで観光気分になる。新しい体験ができることはそれだけで楽しい気持ちになる。


伝泊 小松 大杉谷川に佇む囲炉裏の宿

食事を済ませてからは宿へ向かう。どこか1つくらいは観光しようと思ったけれど、宿の近くで川遊びができるそうなので、早めに宿に向かうことにした。

外観 築180年の古民家らしい
広大な庭 ひまわりが夏の始まりを告げている

市街地から30分ほど山道を走り抜けた場所に宿はあった。車のドアを開けた瞬間、そこには懐かしの夏が広がっていた。
耳を澄ませずとも、「ききき…」というひぐらしの鳴き声が響き渡る。じっと草木を眺めれば、見たことのない鮮やかなとんぼが陽光の輝きをまとっていた。

すでに水遊びの服に着替えていた息子は、「なにこれ…最高じゃん…」と言いながら、「こんにちわー!」と言って古民家へ入っていった。
宿の方が「わー!すごい本気のかっこうですね!」と言って温かく受け入れてくれた。

泊まる部屋 リフォームされていて清潔
窓からの景色 川を望む最高のロケーション

宿は6部屋あるらしいけど、今回は平日を挟む宿泊だったこともあって、私たち以外に泊まる人がいないらしい。
6部屋+大広間を実質貸し切りにできて、とても運が良い日だった。

窓からの見えていた川で泳ぐ
ライフジャケットを着て上流から流れる息子

川に足を踏み入れるとヒンヤリと冷たい。思わず「うーー」と声を出してしまう。

手つかずの自然はもののけ姫かトトロみたいな景色だった。日本人にはジブリのDNAが刻み込まれている。

ずっと何かを叫びながら笑い続けている息子を見ていると、本当にこの宿に来てよかったなと思えた。
私自身も肩まで水に浸かって川を流れてみた。昔は足しか入れなかったけど、サウナに入るようになったからか水風呂気分で川につかれるようになったみたいだ。

流れ続ける息子を眺めながら、「やっぱり、沖縄より川沿いの山間に住むほうが良いんじゃない?小学校も少人数クラスだろうし」と奥さんが言っていた。確かに。

囲炉裏のある大広間

川に出てからは、囲炉裏で火起こしをさせてもらった。一気に身体が温まる。
夕飯を作りながら、ゆっくり宿を探検する。

テラス 大木と川を望む
サウナ 川を一望できる

サウナはちょっと入ってみたかったけど、1人6000円だったのでやめておいた。
高いなと思ったけれど、少ない利用者でこの高温の部屋の初期投資と維持費を考えたら、これくらいなのかもしれない。

息子が入れてくれた加賀棒茶
奥さんと娘が作ってくれたお鍋

貸切だったので、家族だけで囲炉裏を囲みながらのんびりと過ごした。石川のご当地スーパーらしいマルエーで買ってきたサッポロ黒ラベルと日本酒の常きげんをいただいた。

もともと美味しいお鍋が、囲炉裏であたためながら食べるとより美味しい。
いつもはあまりお手伝いをしない息子が率先して食器と飲み物を運んできてくれて、さらに心が温かくなった。珍しい環境が、彼を「家族のために働く気持ち」にさせてくれているのかもしれない。

食後は花火をする予定だったけれど、息子がスーパーに忘れてきてしまったらしい。落ち込んでいたので、代わりに夜のお散歩をすることにした。

夜の玄関
空を眺む

夜道を4人で手をつなぎながら歩いていく。

道路は車がまったく通らない。
星は100個くらい見えていた。

車道と同じくらい広い歩道があったので、せっかくなので寝そべって空を眺めてみる。夏夜の道路が背中をじんわりと温めてくれる。
ゆっくり寝転がっていると、奥さんが私を枕にして、娘が私を布団にして、同じように空を眺め始めた。普通に重い。

のんびり寝転んでいると、1台だけ車が走ってきた。だんだん近づいてくる。良く見たらサイレンを回したパトカーだった。

「この辺で、くまが出ましたので、早めに家に帰ってください」
「あ。はい。」

人はいないけどくまはいる。さすが山奥だなと思った。

宿に戻ってからはお風呂に入った。2歳の娘は大広間を全力で走っていた。「広い家に住むってこういうことなんだろうな」と思った。
息子と夏休みの宿題になっている日記を書きながら、宿での夜をゆっくりと過ごした。


2日目

伝泊の続き

雲一つない晴れ。窓を開けると川の流れが響き続け、夜露をまとった木々の香りがあふれている。もう朝から最高の気分だ。

宿の窓の景色

朝起きてからは息子と一緒に朝の勉強をした。割り算が少し苦手らしい。「こんなの無駄」「意味ない」「あきらめる」と言っていたけれど、声をかけながら、あきらめずに最後まで一緒にやり切った。息子は息子のペースで、本当に頑張っている。

息子が朝食に入れてくれたコーヒー

朝食後に息子がコーヒーを入れてくれた。コーヒー豆からガリガリとするのがやってみたかったらしい。家にも買ってみようかなと思ったけれど、日常になってしまったらやってくれなくなるのかな。

宿をチェックアウトする際、オニヤンマが産卵している姿を見かけた。珍しいことだと宿の人も駆けつけてくれた。
息子が宿の人と別れるのを名残惜しそうにしていて、人とも良い出会いができたんだなと思いながら宿を後にした。


弘法大師の自然霊水

宿から車で5分ほどの場所にある湧水スポットへ。

湧水

わざわざ他県から汲みに来る人もいるらしい。夏の湧水は冷たくて気持ちよかった。そのまま飲める水が流れているって、冷静に考えるとすごいことだ。
ここで汲んだ湧水は、空気に触れないようにすれば1ヶ月はもつらしい。本当だろうか…


川遊び

湧水を汲んでからは、もうずっと川遊びをしていた。3時間は泳いでいたらしい。
普段は「そろそろ帰らない?」と聞いてしまうことが多いけれど、今回はあえて息子から切り出してくるまで聞くことをやめていた。

「何か一つのことをスッキリするまでやり続けた経験」が、集中力につながるらしい。
忙しい日々では息子のやり続ける気持ちに応えてあげることが難しいけれど、少しずつ暇を作って、ちゃんと応えてあげていきたい。

寝転がってみる空

息子はライフジャケットを着て川を上り、何度も上流の方から流れていた。私はずっと歩いていたけれど、せっかくなので息子のマネをして流れてみる。
川に流される感じが思った以上に気持ちよくて、体は冷たいけれどほんわかとした気持ちになった。

こうして、息子と一緒にいると新しい体験を味合わさせてくれる。息子は、存在するだけで自分の幸せを増やしてくれるステキな存在だ。


すし食いねぇ! 小松沖店

川遊びを堪能した後は、山を下り、石川の海の幸を堪能した。実際は北陸産がどれくらいあるかと言われるとちょっと怪しい。

ランチセット1,100円くらい

お店を見た瞬間「何となく記憶にある場所だな」と思っていたが、家族に言っても誰も記憶にないらしい。ただ、退店時に自分が昔書いていたブログを読み返してみると、どうやら6年前に訪れていたらしい。
6年もすれば訪れたことも忘れてしまうらしい。同じところだけ訪れていても、6年周期で無限に楽しめるなと思った。


九谷満月

最後は観光スポットへ。九谷焼の工芸品が買えたり、体験できたりする場所。

改装したばかりみたい
絵付け体験

息子はお皿の絵付け体験をしていた。送料も含めると5,000円くらい。

昔は息子がこういう体験をしたいと言っても、悩んだ結果「ごめん」と言うことが多かった。体験5,000円ってどうしても高く感じる。
最近は少しお金にも余裕が出てきたので、今回は体験させてあげることにした。
息子は「体験していい?」とちょっと遠慮しながら、「やっぱり高いからどうしようかな…」と悩んでいた。子供に遠慮させるのはどうかなとも思うけど、それくらいの金銭感覚を持っていてもらうのも良いかなと思った。

息子は黙々と川と木を描き始めた。今回の旅の思い出の、「川遊び」がテーマらしい。何も言わなくても旅の思い出を描くなんて、いいな、と思った。
息子の今の年齢でしか作れない感覚が、息子が感じた旅の思い出とともに作品になり、それが5,000円で手に入る。そう考えると安いもんかもなと思った。


まとめ

1泊2日の小松旅行に行ってきた。ほとんど川で遊んでいただけだけれど、とても楽しい思い出ができた。

川で納涼する昼
囲炉裏を囲む夜
夏の香りとともに目覚める朝

どれもステキな体験だった。こうした生活を続けたいと思った。
息子に「沖縄と今日みたいな山の場所、どっちに住みたい?」と聞いてみたところ、「今日みたいなところ!」らしい。私も30代後半だし、本当に動くなら早いほうが良いなと感じた2日間だった。

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