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【これイチ】これ1冊でわかる『北極海航路』の教科書

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地球温暖化による北極圏での海氷減少やスエズ運河での座礁事故による国際貨物輸送網のリスクなどから、徐々に注目を集めるようになった「北極海航路」について、教科書のように網羅的に、わか…
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2022年3月の記事一覧

Voy.7【これイチ】数字で見よう!北極海航路の航行統計

【これイチ】『北極海航路の教科書』シリーズ **第7航海** 注目量増加のキッカケは何? これまでの航海で「北極海航路が注目されてきている」とか「北極海航路の航行数が増えてきている」などと記してきたが、これは「ニワトリとタマゴ」のようなものかもしれない。 注目されてきたから、その優位性に気付いた船社が航行実績を重ねるようになったのか。航行数が増えてきたから注目されるようになったのか。どちらが起源になったのかは実際のところ、よくわからない。 こういう時(科学的に根拠を示せな

Voy.6【これイチ】使い道は2つ?北極海航路の利用目的

【これイチ】『北極海航路の教科書』シリーズ **第6航海** 素通りでもOK!北極海航路 船の仕事は、貨物や人を目的地まで運ぶことだ。出発地の港を「仕出港(Port of Origin)」、目的地の港を「仕向港(Port of Destination)」という。そして、その両地点間の航行を「航海(Voyage)」という。 仕出港と仕向港が異なる多国間の航海であれば「国際航海(International Voyage)」、同じ国内での航海であれば「内航(Domestic

Voy.5【これイチ】温暖化でどう変わった?北極海の海氷

【これイチ】『北極海航路の教科書』シリーズ **第5航海** 壊れかけのレイゾウコ ♪ 北極海航路における船舶運航の大きな特徴のひとつとして、海氷に覆われた水面をを航行する「氷海操船」がある。この「氷」の存在というのが、なにをおいても北極海航路における安全性や経済合理性、環境保護などのあらゆる観点における最大の関心事でもある。 私が担当した北極圏での天然ガスプラント建設プロジェクトにおいても、北極海航路を経由するロジスティックを計画する使命を背負った瞬間から、この氷との闘

Voy.4【これイチ】海上物流網再構築で注目される北極海航路(スエズ運河座礁事故との関係)

【これイチ】『北極海航路の教科書』シリーズ **第4航海** スエズ運河座礁事故からの教訓を活かせ! 2020年初めより世界中に新型コロナウイルスの脅威が広がり、物流の世界にも大きな混乱を生じさせた。いわゆる「巣ごもり需要」によって個人消費材の世界的な貿易量が拡大したことで、国際物流網の需要が一気に拡大したのだ。平時であれば、この活況は歓迎すべきことかもしれない。しかし事態はコロナ渦だ。外出制限や時短勤務などの制約により港湾労働者が減少され、港湾機能が著しく低下してしまっ

Voy.3【これイチ】海運ルートとしての北極海航路

【これイチ】『北極海航路の教科書』シリーズ **第3航海** 北極海と北極海航路は何が違うの? 北極海航路は、その名が示す通り北極海に存在する航路である。 どちらも「海」を舞台とした言葉を表していることに違いはないが、両者の違いについて触れておきたい。 まず、「北極圏」についての定義を確認しよう。 「北極点」は言わずも知れた、地球の自転軸が通る北緯90度の地点である。「北極圏」とは、北極点を中心に北緯66度33分までの間のエリアを指す。 極夜もしくは白夜が発生する北半球

Voy.1【これイチ】世界を変えるぞ!北極海航路

【これイチ】『北極海航路の教科書』シリーズ **処女航海** 北極海航路って知っていますか? 「北極海航路」が最近注目されてきている! アジアとヨーロッパを結ぶ海上物流網が短縮される!? スエズ運河の代替ルート! 温暖化で北極海の氷が無くなる!? フランスのワインやチーズが安く買えるようになる!? 上記のようなキャッチ―な言葉に見覚え、聞き覚えはありませんか? これらはみんな「北極海航路」の未来を読み解くヒントになるかもしれません。そもそも、なぜ北極海航路につ