日常02

宮城理子さんの初期漫画

名作『メイちゃんの執事』の作者の宮城理子さんについて。とても好きな作家さんです。

宮城理子さんは同人作家時代は冬星かりのさんと言うペンネームでした。繊細な絵で、ことに髪の毛の描き方が素晴らしかった。わたあめのようなふわふわ。確か下から上にペンを走らせるように描いていたって聞いたことがあります。ほんとに独特。他の作家さんでああいう髪の毛見たことない。

マーガレットデビュー時の絵柄もそれまでの商業誌で見なかった絵柄でした。同人誌時代の絵柄が発展したものですけど、触れなば落ちんというか…女の子の腕…握ったら折れちゃいそうな。ウェストも細いというより、すとんとした棒のような体型。

デビュー作の『超少女REIKO』も良かったけど、英国パブリックスクールを舞台にした『イートンより愛をこめて』が好き。その次の『月の生まれる森』もかなり。『鬼が咲く』以降、地味な女の子とかっこいい男性という普通っぽいストーリーに主軸がうつってしまって。私はやっぱり宮城さんの描く絶世の美少女が好きだと思う。

『ROOの王国』の途中から本格的に作風が変わって、次がエッチなことで有名な少女漫画『花になれっ!!』。この作品を描く前は編集者さんがアドバイスを相当したとコミックスのエッセイに書いてありました。

要するに女の子が折れるように細い初期絵では売れなかったのかな。私にとっては絶対に買わなきゃいけない好みのコミックスだったけど、あの繊細で耽美な雰囲気は大ベストセラー向きじゃなかったんでしょう。

『メイちゃんの執事』がドラマ化までする大ヒットだから(宝塚になるとは思わなかった…)路線変更は大成功なんだろうけど。新しい路線のぷにぷにした絵もすごく好きだけど。あの繊細な絵。あれがもう見られないと思うとちょっと惜しい、いやかなり惜しい。

1人の漫画家さんの絵柄が変わってしまうことってやるせない。ある漫画家さんが引退しちゃったようなものだもん。そこにいるのにもう会えないっていうか。

作家の作風は多かれ少なかれは変わっていくものだけど宮城理子さんの場合は本当に短期間で力いっぱい変わったので、受け止めるのにファンとしてパワーが必要でした。

初期の宮城理子さんのコミックスが全然電子書籍にならないことも気になる。初期は売れてなかったんだろうけど、今は手に入れにくい貴重な本だからやっぱり電子書籍にしてほしい!

宮城理子さんは絵がきれいな漫画家ランキングに必ず入るほど、今も絵がうまい。ヒロインが細かった時代もうまいわけだけど。要するにペンタッチがすばらしいんだろうな。最近はコミカルでトンデモなお話も多いけど、まずは絵を味わうだけでも手に取って見て欲しい作家さんです。

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