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2000字程度の日記シリーズ

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文字数2,000字程度、1日で書ききるエッセイ集
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#批評

[2000字エッセイ#8]初音ミクは弔われるべきか——「THE ドラえもん」展におけるもの悲しさより

この記事は自由に価格を付けられます。 https://paypal.me/ukiyojingu/1000JPY  時刻は22時過ぎ。京阪電車の最後尾車両に乗りこみうとうとしていると、京都市内の駅で40~50代くらいの中年男性が通路を挟んだ向かいに座り、おもむろに靴と靴下を脱ぎ棄てた足を通路側に向けだす。あまりの悪臭と品の悪さに軽蔑の念を覚えつつ、とはいえ中年男性をいさめる気にもなれない自分は、品の悪さが自分に染み付くことを恐れるように、席を移動する。  年齢から逆算するに

[2000字エッセイ#7]少年少女は死んだのか?——「後日譚」から読み取れるじんの「決別」について

この記事は自由に価格を付けられます。 https://paypal.me/ukiyojingu/1000JPY  最後にnote上に短い2,000字エッセイを発表して以降、気づいたらオリンピックが開催され、原爆記念日が訪れ、終戦記念日も訪れていた。定期的に発表するとしていた自身のエッセイが更新できなかったことを反省しつつ、窓を開けるとともに耳につくセミの音と、すでに半分が過ぎてしまった8月を、今こうして思い返す。  既に数日昔のこととなってしまったものの、私にとって8月1

[2000字エッセイ#6]こだまに乗って、偶然を発見する

この記事は自由に価格を付けられます。 https://paypal.me/ukiyojingu/1000JPY  6月19日。緊急事態宣言が解除される直前の日に、私は新幹線に乗って東京に向かっている。京都から東京に向かうことを「上京」ということに対する納得のいかなさを抱きながら、新幹線は京都駅を出発した。本当は昨日に出発する予定だったが、6月19日と18日を取り違えた私は新幹線の切符を間違って買い、スケジュールが一日ずれてしまった。本来であれば容易に変更はできたはずなのだが

[2000字エッセイ#5] 来る「合成音声音楽」の時代と失われた2000年代

この記事は自由に価格を付けられます。 https://paypal.me/ukiyojingu/1000JPY  先日Boothで注文した『合成音声音楽の世界』が無事に配達され、ポストの中に投函された。『ボーカロイド音楽の世界』シリーズは数年前から開始され、ボーカロイド文化を残し続けるための一つの指標として、界隈の中で大きく注目され続けている。今年はタイトルが『合成音声音楽の世界』と変わり、それによりさらに大きな範囲を視野に含めていくという今後の姿勢が表題より読み取れる。だ