自分の浮世絵の復刻について①ー制作コンセプト


浮世絵はとても経年変化の影響を受けやすいものです。美術館等で普段目にされる浮世絵は退色やその他の変化を経ており、出来上がった当初の本来の姿とは違います。それは現代では見ることができなくなったものです。
しかし同じ材料と手法を使えばそれらを蘇らせることができます。
「復刻」という作業を通せば、現代では見ることができなくなった本来の浮世絵の姿を見ることが出来るようになります。
ここに復刻の意義があると私は考えています。
これまで近代以降多くの復刻版が作られてきましたが、江戸のものとは根本的に隔たりがあります。それは作り手の技術というより材料に要因があります。江戸時代以降、浮世絵に使われた材料の多くは市場から消えていきました。復刻の現場では全く別の材料が使われるようになりました。土台となる材料が変われば結果的に完成するものも変わります。彫りや摺りの技術だけではどうにもならない領域があります。
復刻は上辺のコピーではありません。絵具の質感、紙の風合いも含め江戸時代のオリジナルが出来上がった当初のものと同じ”印象”や“情緒”を想起させてくれるものです。
私が目指しているものはそこにあります。
簡単に結果が出る事ではなく、まだまだ時間はかかりますが、いつの日か誰も見ることが出来なくなった本当の浮世絵の姿を見せれる日が来たらと思い、作り続けて行きます。

2017.10.3

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