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北斎ー春画ー蛸と海女 完成

北斎春画「蛸と海女」が完成しました。
使用版木 山桜4枚 11度摺
使用絵具 墨、ウコン、本藍、細工紅、     青花紙
使用和紙 木灰煮米粉入奉書

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1墨

オリジナルは本のため左右別々に摺られています。原画に合わせ左右の濃淡に差をつけました。

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2細工紅ぼかし(目元)

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3ウコン

ウコンは根を砕いた物を煮詰めて更に細かく潰した物を濾して作ります。

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経年により退色します。 
原画に使用された実際の絵具の識別は肉眼で(その上印刷されたもので)は難しいものがあります。黄色系はそのひとつです。(江戸浮世絵の黄色色材は数種類あります。)
今後科学的な分析を取り入れていく必要があります。

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4細工紅

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5青花紙

青花紙は経年と共に灰色ないしは黄褐色または無色へと退色して行きます。最も退色しやすい絵具で江戸時代の浮世絵ではあまり確認できず、復刻ならでこその色だと思います。
只、立原位貫氏が亡くなった今、復刻に使うのは自分だけだと思います。伝統木版画の職人の世界ではこういったものは途絶えています。

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使用の際は染紙を水に浸けます。染料のため粒子を持たず浸透性が高いです。この色の感じはこの絵具でないと出ないと思います。

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6本藍とウコンによる緑

原画より少し黄色味が強いですが本藍は退色しにくいので経年と共にウコンが退色し青味が強くなるはずです。

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7本藍とウコンによる緑

原画に合わせ左部分だけ少し濃くします。

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8細工紅

陰部一ヶ所です。

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9細工紅

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10細工紅

原画に合わせ左の小蛸だけ濃くします。

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11墨

完成
左右の枠の間隔は少し狭めましたが、枠・図柄自体の寸法は原画と同じです。       枠寸法約(13.5×18.5㎝)×2         シートサイズ約29×22㎝

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(原画との比較写真)

線の欠けや歪みも出来るだけ再現しました。全く同じ線を彫るのはただ綺麗に線を彫ることより手間や技術を要すると思います。(一生やってもマスターできないかもしれません。)

今作はこれまでの作品よりも一段上に行けました。

2018.12.31


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