捕虜のビーナス

今から綴るのはとある日の夢の日記。

強烈に覚えているシーンを書き残そうと思う。

ほとんど覚えちゃいないが、視点主は2・3人と行動しており、どこかへ向かっている。その道は屋台やカラフルな小屋が横並びに続いていており、後ろは暗い森だった。どこか薄気味くどんよりとした雰囲気に足早に抜けようとしていのだが、大きな檻に気を取られて、はじめは首だけをむけたが中にいるものを見て足を止める。

大きな檻の中は木箱などが積み上げられていてごちゃついていたのだが、檻を眺めているうちに物陰からうつきながらでてくる。そこに入れられていたのは裸の女性のようだった。黒の革の首輪しており、そこら鎖が伸びていた。目があってしまうのだが視点主は目が離せない理由があった

檻の中の人物は視点主の顔に似ている。「自分が閉じ込めらている…?」と驚いて彼女をよく見てしまう。白い肌にふくよかで滑らかなボディライン、長い足が伸びていて、体の方は完全に”ヴィーナス誕生のヴィーナス”そのまんまだった。ヴィーナスボディに平凡で凹凸のないアジアな自らの顔をコラージュのように貼り付けられていて、少し笑ってしまった。

「ヴィーナスやん」と思っていると、その視線に居心地をわるくしたのか、右手を胸へやり、左手は首から体の真ん中を通り伸びる鎖をつかみ股を隠すようにすると、横に顔を背かれた。完全にヴィースの誕生になってしまった。奇跡的すぎてツボにハマっている。『檻の中の自分の顔の全裸の人間』という異様な光景を怖がらなくなってしまった。

そう眺めていると、彼女の鎖がピンと伸びて音がなる。先程の物陰から高いシルクハットの小柄な男が現れて、鎖を自分の方に引きながらニヤニヤとヴィーナスに何かを話している。表情はよく見えないが、ヴィーナスはこいつを歓迎をしている様子ではない。

すると視界の端に、鎖につながれた女性がもう一人いることに気がついた。白い背中をこちらに向け体育ずわりで座り込みながらこちらを見ている。女性はショートで細身だったが相変わらず視点主と同じ顔だった。こちらと目があおうが逸らしもせず見つめ続けてくる。

面白がって見ていることに気がつかれていたのだろうか。その目をみているとだんだん自分のしていることが恐ろしくなった。

この檻までの道では屋台やカラフルな小屋が横並びに続いていた。その様子からカラフルな小屋はおそらく見世物小屋やサーカスの類であるのか…飛躍をするが、もしかすると彼女たちを商品とした売買が行われているのだろうか…この檻の様子を見ているとそんなことを考えてしまった。

この一連を見ているうちに視点主は同行者たちにおいていかれそうになる。捕虜のビーナスたちが気になりつつも、この道に取り残されたくない不安やこれ以上残っていてはいけない気持ちで追いかけていく。

俺は、逃げ出していったんだと思う

檻から遠ざかるその姿を、自分の顔たちがまだ見つめている気がした

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