女心の開示

*仮に文章を読んで何かピンと来てしまっても(たまに来てしまう人がいる)私側から明確に声の掛かってない者からの働きかけは不要。私が暗に何かを示すことはない。

「ノルウェイの森」という小説をすごい昔に読んだことがある。「八日目の蝉」という小説の内容と記憶が混ざって上手く思い出せないが、ミドリという女性の台詞についてはよく覚えてる。というか有名だと思う。
なんか、ケーキを買いにパシらせて買ってきたら帰ってくる間に気が変わった、このケーキではない、と怒って、それでも「君の気持ちに気が付かない僕が悪かったよ」と言ってほしい。みたいな意味不明すぎる一節だ。

彼女は社会に反発したい系の人だが、聞いていないようで言うことを聞かされ続けている。我慢しているのに我慢したくないから我慢していないふりをしている。だから我慢して言うことを聞かされ続けている人たちと分かち合って労働歌を歌うことはできないし、そのことが彼女をより清貧的にさせているのだ。彼女はそういった己の静謐な精神性を作り上げるために労力を割いてしまったので、その分それが自分の魅力だと思っていて、それを愛してくれなければ、発散させてくれなければ彼女にとってそれは愛とは呼べないのである。

こういった不適切な信念を女体が持っている場合、それは女心と呼ばれる。

私個人の女心を開示する。私はまったりゆっくり2人で映画を見るような雰囲気を感じたら急速に怒りが沸くと思う「芸能人の方が私より綺麗でしょうに」と難癖をつけて「いや中身だよ」「芸能人ではなく君と運命で出会ったからだよ」「大多数がそうでも俺にとっては君だよ」「どうしたの急に、そんなふうに比べさせてごめんね」のどれを言われても到底納得できず気分を害しぷんぷん怒り出すと思う。でも(私をここまで怒らせたにも関わらず)お前と一緒に居てあげたいと思う。

私が問うたことをしっかりと説明できるのなら構わない。説明不可に関する癇癪心を多くの場合は怒りを持って、たまに疑問の形で、またたまにはふざけるような形で表明するからそれを上手くやり過ごしてくれれば良い。無関心な人には猫だか小型犬だか小鳥だかのように映るかもしれないが、私は獰猛な犬だか虎だか知らんけどとにかく獰猛な生き物として思ってくれると良い。獰猛だけれどもお前の言うことは聞こうと思う。いやもっともはじめから聞いていないのは君の言うことだけだが。だいたい優しいか優しくないかで言えば相当優しく関わりやすいかと思うので。

私も本当は君と深い仲になりたいのであるしかし不可思議の行程や行動を理由なく踏むことはできない。全て説明してもらわねば納得できず、納得できなければそのように実行することはできない。「奥歯も凍るようなキス」をとてもしたいので、君がしたいかはさておき君は私がそうできるように教えてくれなければならない。信じられないこともないかもしれないが、それでも依然として無理をしているのは私の方なのである。ずっと無理しているせいで苦しいと思っている。君がモタモタしているからその間に私はどこかを飛び出してどこかに飛び込んでしまいそうな不穏なエネルギーに身体中を苛まれ続けているのだ。

不自然であるのも反発し合うことも当然だと思う。要は締めようとする動きとこじ開けようとする動きが我々の関係性の全てなのだから。恋人なのであれば友達同士というわけにはいかない。したくなるほどに私は閉めなければならない。そんで説明できない無理難題を君は説明して開けなければならない。それが当然だ。

無理なら仕方ない。

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