天から地へつなぐエール

易を学んでいます。

というと、易って何?と思われる方が大多数かと思います。私も数年前までそうでした。易という言葉は、歴史(国語?)の教科書でお目にかかったくらい。まあ、それも、記憶の彼方で取り出せなかったくらいですが…

易のもろもろの説明をバサッと省きますが…少しだけ。

・天、沢、火、雷、風、水、山、地の8つのシンボルが使われる
・8つを2つ掛け合わせた64卦のストーリーで描かれている
・陰陽を使い表現される
・天地の狭間にあるものは常に変化する(変易)
・だが、その中に変わらないもの(理)がある(不易)

語りつくせないので、概要は調べていただければ。
易を学んでいて、一番答えに詰まる問いは、「易ってなぁに?」かもしれないなぁと思ったりします。

易の学びを続けているのですが、64のストーリーを読み解いていく講座に行っています。

先日、その半分、32のストーリーまで終了しました。

数字で言えば32が半分なのですが、易は、上経と下経に分かれています。
上経は1卦目から30卦目まで。下経は31卦目から64卦目まで。
32卦ずつ分かれているわけではありません。

小説などの上下巻も同じページ数で分かれてはないですよね。
ミステリーだったりすると、真ん中らへんだけれど、ある程度キリが良くて、でも、解決はしていなくて、続きが気になる~~~~のところで分かれているかと思います。

では、易は?

易は、奇数番目と偶数番目をペアと考えることができます。
そこで先ほどの図。

まっすぐ一本線が陽、真ん中で分かれているのが陰です。
1番目の乾為天(けんいてん)と2番目の坤為地(こんいち)は、陽だけ、陰だけで出来ている特別な卦なので、一旦、置いておきます。
3番目と4番目の卦の形を見ると、点対象に置かれているのが分かりますか。
3番目をよいしょと持ち上げて、上下逆さまにぐるんと置くと、4番目になります。
こうやって、奇数番目と偶数番目がペアになっているのです。

このペアの数が、上経と下経では合わせてあり、特別な存在である、乾為天と坤為地は1と数えて、18ペアずつ収録されています。

この世界は、天と地が睦み合って、万物がうまれたと考えています。
人もその一つです。

上経は、天の物語、地の物語からはじまります。
そして、上経の終わりは、29卦目 坎為水(かんいすい)という水が重なる卦と30卦目 離為火(りいか)という卦で終わります。

(前置きが長すぎる…ここから…)

坎為水は、易の中で一番厳しいんじゃないかな~という卦です。誰しも、人生を歩んでいると、もうどうしようもなくて、八方ふさがりに思えて、希望なんて見いだせない。どん底…という経験があるかなと思います。
穴を掘って掘って掘って掘って、真っ暗な中にいるような。
坎為水は、そんな時を説いてくれている卦です。

そして、続く離為火。離為火は、万物をあまねく照らす太陽の卦象。
あなたが困難な中にあった時に身につけた明智は、あなたや周りの人をも照らす光となると説いています。

太陽は、どんな時でも、必ず東から昇ってきて、西に沈みます。雨が降ろうが雪が降ろうが、台風が発生しようが、人々が混乱に陥っていようが、お構いなしに、陽は昇り、沈んでいくのです。
まさに「明けない夜はない」。
この理は、ひとつの希望でもあります。
坎為水の後に離為火がやってくる。どん底に落ちても、いつかは底に「着き」、いつか光が見えてくる。そのあなたの中に燈った火は、あまねく世界を照らすものとなる。
火は、媒体に「付いて」燃えることができます。
私の中の火は、あなたの中にも燈るかもしれない。
そのリレーこそが、足元を照らし、世界を照らす光となる。

もちろん、この解釈がすべてではありません。
ですが、私はこの解釈に心が震え、涙が出るのです。

ちなみに、下経は、沢山咸(たくざんかん)という、若い男女の恋愛の話から始まります。

天と地、そして天地の睦み合いからうまれた64のストーリー。
大きく分けると、上が天のストーリー、下が地のストーリーとも解釈でき、それを読む私(人)の構図、天地人が出来上がります。

地から離れて生きることのできない人の、しかも、若い男女の感応の話から始まる下経。

どん底にいても、光を失ったわけではなく、見えなくなっただけ。
そして、その光はいずれ大きくなり、世界をあまねく照らすものだ、という天からのエール。

を、受けとった下経。って考えると、ちょっとずっこけそうな感じもありますが、私たちが生まれてやりに来たことって、「感応」するってこと、一点なのかもしれないと思うわけです。

いつだって太陽でいられることなんてない。
もう、こんな人生くそくらえだ!と思ったこともある。
投げ出してしまえたらどれだけ楽だろうって。

そんなときに、変わり続ける世界の中に、変わらない理があるということは、そこに希望を見出せるということは、きっと、きっと、また歩み出す力になってくれると信じています。

だって、天からのメッセージは、最後、離為火で送り出してるんですから。


ありがとうございます!