「リズと青い鳥」に学ぶ演出技法【いなくなること】
劇中における絵本「リズと青い鳥」は、リズという少女のもとに青い鳥が人の姿でやってきて、二人は幸せに暮らしていたのですが、リズは青い鳥の正体が鳥であることに気が付き、青い鳥を開放し大空へ羽ばたかせる出会いと別れの物語です。
この映画では絵本のストーリーとリンクした物語構成となっており、2年生のときに部活を辞め3年生のときに帰ってきた希美を青い鳥になぞらえています。また理科室?でフグに餌をあげているみぞれのことを希美は「リズみたい」と言っており、物語前半では「希美=青い鳥」「みぞれ=リズ」という構図になっています。
希美を青い鳥として描くため、みぞれのもとから消えるシーンがいくつか描かれています。
いなくなる希美
冒頭個人練のシーンで、希美はみぞれと二人きりで合奏練習をします。その後吹奏楽部員が次々とやってきて、希美と同じパートの下級生が現れます。
その際希美は「パート連行ってくる」と言い残しみぞれのもとから去っていきます。
希美のいなくなった席をみぞれの後ろ姿とともに引いたカメラで描いており寂しさを表現しています。
明確に空いた席を写すことで去っていく、去っていったことを強調しています。
引用元:リズと青い鳥
理科室でみぞれがふぐに餌を上げている際に、反対側の校舎にいる希美に気が付きお互いに手を振ってやり取りをします。
途中でみぞれが目を離している間に希美は他の生徒に呼ばれいなくなってしまいます。
引用元:リズと青い鳥
反復的にいなくなるシーンを描くことで希美はいつみぞれの元からいなくなってしまうか、飛び立ってしまうかわからない青い鳥のような存在として表現されています。
いなくなることを何度も反復的に描くことで、この関係は崩れやすく脆いことを意味し、いつ別れが来るかわからないというプレッシャーをみぞれにあたえる形になっています。
いなくなることを何度も描く = 関係性がいつ崩れるか、別れが来るかわからない
まとめ
このようにいなくなることを描くことで、希美が鳥のように自由な存在であることを描きつつ、何度もいなくなることでいつ関係性が崩れるか、別れが来るかわからないような表現となっており、希美を青い鳥であることを強調するかたちになっています。
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