「たまこラブストーリー」に学ぶ演出技法 【立ち上がる演技の意図】

映画やでは話をしている状態から、話の途中で立ち上がったりする演技が入ることがあります。
その際のセリフや立ち上がったあとの演技や立ち位置の変化などで意味合いを付加することができます。

たまこラブストーリー中盤で、北白川たまこと朝霧史織が二人ベンチに座った状態で話をしているシーンがあります。

引用元:たまこラブストーリー

史織はたまこに、受け入れ先は決まっていないけど夏休みにホームステイすることを告げます。
卒業後留学する予定の史織は、悩むよりも行ってみることにすると話します。

その際に史織はベンチを立ち上がり、カミテシモテがたまこと入れ替わる位置に歩いて振り向きます。

引用元:たまこラブストーリー


同じ方向をみて座っていた二人の片方が立ち上がり話をすることで、立ち上がっている方は高さで上に位置するため、その場から飛び立つこと、座っている側よりも前に進んでいたり、優位に立っていることを意味します。

また最初同じ方向を見ていたのに振り向き対面することで、今後同じ方向には進まないこと、対立することを意味します。

ベンチから立ち上がる = 未来へ踏み出す

同じ方向から対面する方向へ = 意見がすれ違うようになる、対立する

このシーンの場合は、史織は仲良し4人組から離れ飛び立つことを意味しています。

さらに、立ち位置が入れ替わることで物語が変化することも意味しています。(これはイマジナリーライン超えも同じ使い方ができます。)
ここでは史織から「最初は何もかも初めてだもんね」と言われ、たまこは大路もち蔵から受けた人生初めての告白をどう受けとめたらよいか考える瞬間になっています。

立ち位置の入れ替わり(イマジナリーライン超え) = 物語に何らかの変化が発生している可能性

しかしながら、少しの心の揺れはあったものの、結局この場では告白への結論を出せないため、たまこはベンチに座ったまま映画は次のシーンへ進んでいきます。

ベンチから動けない = 結論が出せない、未来に対して動き出せない

まとめ
このように、立ち上がる演技ひとつでもセリフやストーリーラインとリンクさせることで演出的な意味を付加することができます。

また、立ち位置を入れ換えることは物語におけるポジションの変化を伝えることにも使えることができるようになっています。

演技として座ったり立ち上がったりするプランを組む場合、動きを入れるだけでなく、距離感や上下関係、体の向きなどですれ違いや、寄り添うことを描いたりするようにしたいですね。

サポートしてもらえると嬉しいです!