「たまこラブストーリー」に学ぶ演出技法 【風景描写で別れを描く】
たまこラブストーリーでは、高校3年生になった北白川たまこと大路もち蔵、その同学年の友人たちを中心とした物語となっています。
みな高校3年生であるため、卒業後の進路の話が随所に出てくるのですがそのたびに風景描写を使い、別れを象徴的に描いています。
別の行き先
たまこを中心とした仲良し女子4人組の卒業後の進路を話しているエピソードで、空には飛行機雲と飛んでいる飛行機があり、川面には木の枝がつくった2つに別れた波が発生しています。
航路が違う飛行機 = 別の方向に飛んでいく = 別の進路
引用元:たまこラブストーリー
気が発生させた波が二股に分かれている = 別れの象徴
引用元:たまこラブストーリー
川面が波立つのは心が揺れる事も象徴しているのですが、ここでは特に二つに別れているため、進路が別れていくことを描いていると思われます。
部活からの引退、高校からの卒業
またストーリー後半、たまこたちはバトン部を引退する前最後の大会に参加するのですが、大会での演技終了後、花の部分が綿毛になったたんぽぽから何粒かの綿毛が飛んでいきます。
この綿毛とたんぽぽが、高校や部活と卒業していく生徒を象徴的に描いています。
たんぽぽ = バトン部、映画研究部、高校
飛んでいった綿毛 = 卒業する3年生
引用元:たまこラブストーリー
もち蔵の心理描写
映画の勉強をするために東京の大学に行こうと考えている大路もち蔵がたまこに告白した後返答がなかなかこないため、恋を諦めてたまこのことを忘れて、ひとりで東京に行こうと思いつめているときに差し込まれる映像に、空を単独で飛んでいる鳥の映像があります。
これはもち蔵の心理と状況を表していると思われます。
単独の鳥 = 孤独の象徴(つがいの相手がいない、恋がうまく行ってない)
飛んでいること = 離れていくこと、別れ
引用元:たまこラブストーリー
まとめ
このように風景描写に不揃いな方向に動くものや2つに別れている動き、元あった場所から離れて飛んでいくものなどを使用することにより、別れを象徴的に描くことができます。
風景描写は間をもたせる意味で使われることが多いのですが、このように効果的に使えるようになりたいですね。
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