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「たまこラブストーリー」に学ぶ演出技法 【状況におけるライティング】

以前映画において「ライティングで心のすれ違いを描ける」という記事を書きましたが、たまこラブストーリーでもライティングで心理状態、物語の状況を描写しているシーンがあります。


通常時のライティングとライティングを変化させることによって、そのカットを際立たせたり、キャラクターの心理状態を表現したりすることができます。

たまこラブストーリーではたまこともち蔵の恋愛を描くなかで、相手に気持ちを伝えるかどうか悩んだり、相手の気持ちを受け止めたりといった心理状況に寄り添うライティングが使われています。

暗い気持ちを表現
もち蔵が映画の勉をするため東京の大学に行く計画をたてています。母親から、たまこにそのことを伝えたほうが良いのでは?と言われ、わかってるけどどう伝えたらよいか悶々としているカットで、もち蔵に対するライティングが変更されています。

通常のライティング

引用元:たまこラブストーリー

ライティングを暗くする = 気持ちが沈んでいることを表現

引用元:たまこラブストーリー

このように特定のカットのみライティングを変更することで、そのカットが特別なカットであることや心理状態が沈んでいることを表現しいています。


心残りに向き合い、相手の気持を受け止める
映画の最後で、たまこへの思いを振り切って東京へ学校説明会に行こうと、京都駅で新幹線に乗車しようとしているもち蔵のもとにたまこがやってきます。

たまこは、なぜもち蔵は何も言わずに東京に行くのかと問いかけます。そのセリフに合わせ、新幹線が通り抜けたタイミングでライティングが暗く変更されています。

もち蔵としてもたまこに東京に行くことを伝えるかどうかは映画を通して悩んでいたことで、心残りであったことなのでライティングが変更されています。また、後で出てくるカットにつなぐための都合として暗くしているのもあると思われます。

心残りに向き合う

引用元:たまこラブストーリー

その後、TVシリーズから二人が話をする際に使っていた糸電話をもち蔵が投げそれをたまこが受け止めるカットでライティングが明るく戻ります。

映画を通して、もち蔵の気持ちを受け止められないことをバトンなどを受け止められないことを通して描いてきたうえで、映画の最後で二人にとって大切なアイテムである糸電話をキャッチすることで、もち蔵の気持ちを受け止めることを表現しています。

その際に、物語がハッピーエンドへ向かうためライティングがまた明るくなります。そのための都合もあり手前のカットで一旦ライティングを暗くしているのだとも思います。

相手の気持を受け止める

引用元:たまこラブストーリー

まとめ
このように特定のタイミングでライティングを変更することによってセリフや演技とリンクさせ、キャラクターの心理状態を描写することができます。

CGではライトをフルコントロールできるので、こういった描写をより積極的に取りいれていけると良いかと思っています。

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