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家族の言い訳


家族愛について綴った短編集。どのストーリーにも共通していることと言えば、いつもその場の言い訳ばかりして、ストーリーの最後でついに相手の存在の大切さに気づいていたという点。
人はみんな弱い部分があって、つい相手にひどいことを言ってしまったり、時には見捨ててしまうこともある。ただ、それはその人に対する最大の甘えであり、そんなことが出来るのは家族しかないということ。

家族の存在として、一言で例えるならまさに「絶対的な味方」。心の底では相手を大切に思っているのに、現実にはつい相手への不満が先にたってしまう、、、、この本を読みながら自分も、これまでを思い返して家族に対しても他人に対しても「こんな気持ち」を大切にしていれば、もっと違う人生があったかなみたいな感覚を覚えた。読みながら、主人公と同じように最後にふと気づく、所謂"心をリセットする喜び"を体感することができた。そんな苦しさもたくさんの痛みもそしてもちろん喜びも全て共有している家族『言い訳をいちばん必要とするのは家族です。』ってめちゃめちゃ刺さった。

『妬く、、、それは愛情の証なのだろうか?自分の存在を否定された痛みなのではないだろうか、、、私はハンドルを切りながらそう考えた。』

『人生にはふたつの寄り道があると思います、余生という寄り道と、休息という寄り道です。』

『星たちが降らす光のシャワーを浴びていると、薄汚れた気持ちがすすがれてゆくようで心の芯から痛みが消えた。』

『人生なんて結局、51勝49敗程度でいいの。でもね、その二つの勝ちの差が最後に物を言うんだから、、、本当に賢い女は負けてあげられる余裕を持ってるの。それはね、小さくてもしあわせに繋がる急所の掴み方を心得てるってことなのよ。』

『薄情で軽薄な世の中になったとはいえ、家族との絆は深く重く、そして厄介で面倒な代物である。希望やあきらめ、下ろすに下ろさない荷物を背負うが如く、誰しもが日々の中で共生している。淡々とした悲しみや切なさ。ささやかな幸せの確認。あえて言えば、コドモにはわからない部分。』

『家族に悩まされ!家族に助けられている。誰の人生だってたくさんの痛み、苦しみ、そして喜びに溢れている。

『夫婦は他人なのであれば、その距離を埋めるためにも言葉は必要だ。道を必死に走っていた夫に、カーナビのように目的地を的確に、それがたとえ乾いた味気ない声だったとしても、「あなたは好きな道を走ればいいのよ」と言ってあげられたはずだ。私は道案内が下手だったと初めて後悔した。』

『言い訳をいちばん必要とするのは家族です。』
#paperbacks  #家族の言い訳#家族#family#森浩美

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