うかい

早稲田大学国際教養学部2年

うかい

早稲田大学国際教養学部2年

最近の記事

耽溺

綺麗なフリをして、その実体は期待と欲のかたまり。 どうしようもできないくらい自分のことしか考えていない。 どこまでが本音でそれ以外は何だったのかなんて、加虐心を自分に向けていく。 頼って、依存して、溺れて。 焦燥と憂心を打ち消すために、何かを成し遂げることに執着しはじめた。 前を見ているかと思いきや、透けてみえた記憶に気づいてしまって、「これで良かったのか」なんて覚えた言葉を忙しさの煙でかき消した。 変わっているようで、いまもむかしもなにも変わっていない。 得た

    • 感情

      知りたいという感情だけで 一緒にいたいという感情だけで 自分が得られる利益を考えずに そうやって人を好きになっていく自分に困惑する そんな一時的な衝動で動いていいものかと 客観的事実よりも自分の意志を信じていいものかと 迷っていたら、何もできなくなった。 自分の感情に突き動かされたほうが楽しいのではないかと 未来の不確実性のなかで信じることのできるものは何かと 後悔しないのかと そう考えるようになってから、自分のことばを信じるようになった。

      • 出会い…?

        最近知り合って、話してて楽しかった人がいた。 もっと知りたいな。 何が好きなんだろ。 そう思い始めたとき。 「うかいと友だちになれて良かったわ!」 と言われた。 始まってもない恋を失恋にもっていかれた気がした。 多分、勘違いだけど。

        • 満月

          満月を見ると、いつもある記憶がよみがえる。 小学6年生で夜遅くまで塾にいた私を、母親が毎日車で迎えに来てくれたときの記憶。 ある日の帰りに、車から見える月がやけに大きく感じて、周りが暗いところで眺めてみたいという話になった。 いつも10分しかかからない帰り道を遠回りする。 そういう、いつもと違うという事実が私をワクワクさせた。 「大きいね、綺麗だね」と2人で興奮して、車から降りて空を見上げた。 満月を、目に焼き付けた。 夜の涼しい風を、肌で覚えた。 スマホで写

          新幹線での見送り

          発車のアラームが鳴るまで新幹線のなかにいるその人は私を知らんぷり。 私も、伝えたいことはもうなくて知らんぷり。 無駄に長い待ち時間が別れを気まずくする。 あとは「さよなら、またね」と言うだけなのに。 思えば、一緒に電車に乗って新幹線のある駅まで移動しているときから気まずかった。 切り替えができているのに寂しいふりをしなければならない私と。 次の目標に向かって待ち遠しいのに悲しいふりをしなければならない気持ちになる相手と。 新幹線の中にいるあの人と仲良かった…よね

          新幹線での見送り

          オンライン

          オンラインでのイベントが盛んになった。 どこにいても参加できる。 時間やコストを節約できる。 そうやって、良いことの方がいいように感じる。 でも。 耳が聞こえない人はどのように参加するのか。 自粛がさらに続いて外出禁止になったとき、介護が必要な人はどう扱われるのか。 パソコンやスマホを持っておらず、オンライン授業を受けることのできない人はどうなるのか。 ギガを大量に消費してしまうために、限られたイベント・授業しか参加できない人はどうなるのか。 オンラインによ

          オンライン

          ちょっとニヤっと

          ママチャリに乗っているスーツの男性を見かけた。 サイゼリヤで耳にはさむ女子高校生の話が解せない。 「書いとけ」って先生が言った。 「解と係数?」って友だちが聞いた。 トイレを我慢すると、天国と地獄が脳内再生される。 おじさん先生が可愛いって言う友だちが、自分の父親うざいって言う切なさ。 シャツの予備ボタンはもう捨てていいのか。 ビデオ通話で友だちがまるで聖母のように寝落ちした。 ちょっと。ニヤっと。

          ちょっとニヤっと

          遠回り

          小学生のとき、用紙の端を切り取って好きな男の子と文通(?)をしていた。 「好きな人誰なの?」 「1組」 「分かんないよ、他には?」 「窓側の席に座ってる」 「○○ちゃん?」 「そうやってずっと聞かれたらばれちゃうから、合ってるか言わない(笑)」 自分が当てはまっているかそうでないか、ドキドキしながら渡された紙を開いた。 「内緒ね」 2人だけの秘密のやりとりという事実にドキドキしながら。 高校を卒業した今でも、根本は何も変わっていない。 変な駆け引きを始め

          遠回り

          東京のハト

          近づいてもハトが飛んでいかない。 東京のハトは都会慣れが激しいのか。 たまに車でひかれやしないか、人間側がヒヤヒヤする。 飛ばせてやろうと近づく。 飛ばないからかえってドキドキし始める。 「これ、飛ばなかったら触っちゃう…」 そうやって思いながらも近づいて、ハトが飛んでいくとホッとする。 なんだ、都会のハトも所詮ハトか。 東京の人間も所詮人間なんだろうか、と思った。 そう、思いたくなった。

          東京のハト

          卒業したということ

          高校の最寄り駅を歩くとき。 少し背筋を伸ばして歩く。 垢ぬけた感を醸し出して。 もう大人になったかのように見せて。 後輩や同級生に会わないかドキドキしながらホームを歩く。 高校の脇を通るとき。 校庭から聞こえるサッカーボールを蹴る音と、仲間と走っているその姿に懐かしさを感じて、一瞬だけ高校の生活にタイムスリップする。 教室の椅子をひく音と無駄な時間を有意義に過ごす笑い声。 退屈であったはずの授業。 チョークの音や指名された誰かが音読する声でさえも愛おしい。

          卒業したということ

          白線の上を歩くゲーム

          子どものとき、家まで同じ石を蹴れるかゲームをした。 白線の上しか歩いてはいけないゲームをした。 今は、昔と同じ石は蹴れない。 今は、白線みたいに決められた道がない。 今は、みんなが同じものを求めて生きているわけではない。 だからたまに、自分が追い求めていたものが何か分からなくなる。 自分が考えていた理想が目標として機能しなくなることもある。 それでもまた、新しいルールを決めて進もう。 自分で新しいゲームを始めよう。 子どもの頃のように。

          白線の上を歩くゲーム

          自己紹介という敵

          何が好きかと問われても、分からない。 自分の所属とか、肩書きでしか名乗ることができない。 普段何をしているか、何も答えられない。 なんとなく好きなものがあっても、ハマっているわけではない。 嫌いか嫌いじゃないかは答えることができるのに。 友だち作りってどうやってやってたっけ。 春、自己紹介は難しい。

          自己紹介という敵

          「先生の夢はなんですか」

          「先生の夢はなんですか」 正解を探っているその一瞬に思わずため息がでる。 夢をもったほうがいいと先生は言うけれど、先生自身が夢をもっていないことがある。 何かのために稼いでいたのに、いつの間にか稼ぐという手段が目的になっていて。 教える立場に長年いると、知らないと言うことを恐れるようになるのだろうか。 世の中、道徳の授業のように簡単にはいかないことを、先生はそうやって間接的に教えているのだろうか。 先生にとって、夢をもつということは何を意味しているのだろうか。

          「先生の夢はなんですか」

          忍耐

          中東に興味のある人たちのグループ。 アラビア語のことわざを教えてくれた人がいた。 「忍耐は幸福の鍵」 اَلصَّبْرُ مِفْتَاحُ الْفَرَجِ アッサバル ミフターフ ルファラジ コロナ自粛。 人々が家にいる。 ぶつける場所のない不満を募らせて。 あともう少し。 あともう少しの辛抱。

          星の王子さま

          絵本のような語り口調で、星の王子さまが様々な星を旅するストーリー。 小学生のとき、なぜこの本が高い評価を受けているのか読んでも分からず、ただ一冊の絵本として楽しんだ。 ところが大学1年になり、今度は英語版であったが、読み直してこの本に対する想いが変わった。 遠い星の王子さまの話であるはずなのに、いつの間にか自分事に置き換えられて考えることのできる内容。 ふと立ち止まって自分自身を考え直したくなる、そんな雰囲気をまとう本だった。 そして魅了されるのは、そのような雰囲気

          星の王子さま

          恋愛における別れ

          誰かと別れたとき、落ち込む。 何でも、どうでもいいと投げ出したくなる。 でも投げ出しただけでは解決できなくて。 やるせない心を自分だけがもっている気持ちになる。 宙に浮いたような気分になる。 自分が少し欠けたような寂しさを埋めるために、別れた人の代わりとなる人と付き合う。 その人は、自分の欠けた部分をぴったり埋め合わせてくれる人ではないと知っていながらも。 そうやって、また紛らわすことができない寂しさを抱えることがないように。 代わりに、新しく、自分で「自分」

          恋愛における別れ