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4月はじめのハーブたち(前編)

今年はとても寒い冬でした。
いつもは冬越しできるハーブたちの中にも、場所によっては、寒さに耐えきれずに枯れてしまった子たちもいます。

そんな中、寒さをじっと耐えぬいた子たちから新芽が出始めました。

命の営みがスタートする、小さな小さな兆しです。

記録も兼ねて、今朝の、家の周りのハーブ畑の〝兆し〟を並べてみました。

マロウ(薄紅葵/ウスベニアオイ)


こぼれだねから発芽したマロウ。昨年秋に発芽して、冬を超しての今。
直径20センチほどにまで成長しています。
3月中頃の、「春のハーブ栽培教室」で皆さんに種まきしていただいたマロウ。
かわいらしい双葉が出てきた状態。

今はまだこんなに小さな状態ですが、この先グングン背丈を伸ばし、初夏には私たちの身長くらいにまで成長。
赤紫色のきれいな花を次々に咲かせてくれます。

いつも背が高くなりすぎて、支柱がないと自立できずに倒れてしまうので、今年は途中で摘芯(てきしん/先端を切って成長を止め、脇目を増やす方法)をしてみようと思っています。

利用方法としてメジャーなのは、やはりハーブティーでしょうか。
うかspice+でも、咲いたそばから摘み取ってドライにし、次に紹介するマーシュマロウと一緒にハーブティーにブレンドしています。

ハーブティーの話が出てきたので、ここで少し薬効についても触れてみましょう。

マロウは、主要成分に粘液質を豊富に含んでいるので、粘膜の保護に良いとされているハーブ。喉の痛みや咳、胃腸などの消化器系の炎症を鎮めてくれます。

そのほかの主要成分はアントシアニンとタンニン。
ブルーベリーなどに代表されるアントシアニンは目に良いことで知られていますが、マロウの作用として「疲れ目に良い」という情報はあまり聞きません。
調べてみたところ、マロウに含まれるアントシアニンの量は「疲れ目に良い」レベルには満たないようです。

ちなみに、アントシアニンがどのように疲れ目に作用するのかというと、目を使う際に網膜で分解・再合成を繰り返しているロドプシンという物質(光受容体)の再合成をアントシアニンが促進するのだそう。
目を酷使してこの再合成が追いつかなくなってくると、目が疲れたり、視力が下がったりしてしまうようです。

アントシアニン=目に良い

この情報だけでは知り得ないことが体の中で繰り広げられていたのですね。

こうした体の中での微細な営みを想像するにつけ、自分の中にも宇宙が広がっているのだな、と実感します。
そして、私たちの感知しないレベルで、休まずに働き続けてくれる物質や、その仕組みに、感謝の気持ちがわいてきます。

尊敬する、フラワーエッセンスの発見者・バッチ博士が残した言葉に次のようなものがあるのですが、まさに。

「万物のユニティ(全体性)。人間が目にするあらゆるものは、その無数の形のなかに、神聖なる愛の表れがあることを十分理解する必要があります。それぞれの形に個性があっても、すべては愛という創造力の一部なので分離はありえません。ある一部に起こる不備は全体に影響しますから、そのあらゆるカケラが最終的に完全な域に達していかなければなりません。したがって、自分自身や他の人に背く、どんな行動も全体に影響します」
1931年版『Heal Thyself』内 「生命の大原則」の5つ目の原則より

私たち一人ひとりが与えられた個性にしたがい生きていくこと(自分らしく生きていくこと)が、宇宙全体の調和へと繋がっていく。

それと同じように、体の中の物質や細胞それぞれが、それぞれの正しい働きを全うしてくれるからこそ、私という体が調和した状態を保つことができる。

そういうことなのだな、と思うのです。


マーシュマロウ(薄紅立葵/ウスベニタチアオイ)


昨年秋に挿し木で増やした苗。
棒だけの状態になって外で冬越しし、脇から新芽が出てきたところ。
畑で冬越しした3年目の株。
こちらも脇からツンツンと新芽が出てきました。


お菓子の「マシュマロ」の語源になったとされるハーブです。

先に紹介したマロウと同様に粘液質を含むため、粘膜保護に良いとされています。
ただ、お花を利用するマロウと違い、マーシュマロウの場合、その薬効が強くあるとされるのは根っこ。
2年目の株を掘り上げて、根っこを取り出し、乾燥させ、煎じるなどして使用されてきた歴史があります。

うかspice+で使用するマーシュマロウは、マロウよりもひとまわり小さい、白いお花の部分。そして少しの葉っぱ。
これをやはり乾燥させて、ハーブティーやティンクチャー(チンキ)などで使います。

なぜか、マーシュマロウはお花に惹かれるのですよね。

乾燥するとエメラルドグリーンのような色になる葉っぱも美しく、見入ってしまいます。

ワイルドストロベリー(蝦夷蛇苺/エゾヘビイチゴ)


寒さに強いワイルドストロベリー。
早くも小さな実をつけています。
こちらは、ハーブ畑の入り口にたくさん生えている野苺。
申し訳ないけれど、そろそろ地ぎわで刈り込みます。
放っておくと痛くて大変。

うかspice+ではうまく活用できていないワイルドストロベリーですが、小さな実をジャムに、葉をドライにしてハーブティーに使うという方法が一般的です。

ランナーでどんどん増えているので、今年は少し実も集められるかもしれません。


ローズヒップ/ドッグローズ(犬薔薇/イヌバラ)


まだ、昨秋の実を残しているローズヒップ。
「ビタミンCの爆弾」と呼ばれる、酸っぱいハーブティーのもと。

ワイルドストロベリーに続いて、「実」ものシリーズに行きましょう。

こちらは、ローズヒップの名前で知られるハーブ。英名でドッグローズ/ワイルドローズと呼ばれるバラの実です。
最初に買った3本の苗木はすべて立派に成長し、昨秋は、2年目の秋を迎えてたくさんの花と実をつけてくれました。

そして現在は、苗木を増やそうと挿し木で増殖中。

通常、樹木を増やす際は、接ぎ木といって、相性の良い他の種類の木に接着させて増やすのですが、なんとなく昔からその方法に不自然さを感じていたので、成長まで時間がかかると言われる挿し木で。

案の定、まだ10〜15cmほどの小さな苗ですが、そろそろ地面に植え付けてみようと思います。

接ぎ木ではなく挿し木で、栄養たっぷりの育苗土ではなく畑の土で、暖かいハウスの中ではなく屋外で冬の寒さにあてて、というスパルタ状態で育てた苗たちなので、きっとたくましく育っていってくれると思います。

ダマスクローズ


ローズヒップ(ドッグローズ)より一足早く
若葉を茂らせ始めているダマスクローズ

ダマスクローズは、「バラの女王」と呼ばれるほど香り高い、精油やローズウォーターなどの原料にもなるバラ。
八重でとてもきれいな花を咲かせます。

こちらも、ローズヒップ(ドッグローズ)同様、3株からスタートしましたが、残ったのは1株のみ。
まだ、花びらの収穫もほとんどありません。

今年は、その1本の木から、ドッグローズと同じ挿し木のスパルタ栽培で増殖中。

バラの花びらのハーブティーは、香りが良いだけでなく、とても高い鎮静効果があります。
自律神経が乱れがちな現代の私たちにとてもうれしいハーブなので、ハーブティーとして、なるべく早くお届けできるようになると良いなと思っています。

チェストツリー(西洋人参木/セイヨウニンジンボク)


とても美しい花の後に付ける実。
冬を越してまだ一部がしっかり付いたまま。

実ものシリーズ。
次は、チェストツリーに残ったままの実「チェストベリー」。
女性のためのハーブとして知られていて、月経に関する不調や更年期障害に良いとされていますね。
母乳の出もよくしてくれる作用があるとか。
(そのため、妊娠中の使用はNGです)

植えた場所との相性なのか、とても成長がゆっくり。

もっと大きな木になったら、葉や花もドライハーブにしていく予定です。

ミルクシスル(オオアザミ/マリアアザミ)


葉も花も鋭いトゲがあって
収穫がかなり大変!
秋に植え付けをして、現在直径50〜60cm。
夏には身長ほどに成長して花を咲かせます。

実ものシリーズ。そして、一つ前のチェストツリーで「母乳」の言葉が出てきたら、やはりミルクシスルでしょう。

アザミの仲間で、最終的な背丈やお花のサイズ感は、食用のアザミとして知られるアーティチョークに雰囲気が似ています。

写真でもわかるように、葉の緑に映える白い葉脈が特徴。この白い葉脈は、聖母マリア様が幼いキリストに与えようとした母乳がこぼれてできたものとして伝えられています。

主な利用部位は実。正確にはタネ。

タネを煎じて、肝臓の薬として飲みます。

〝ミルクシスル〟で検索をすると、ハーブとしてのミルクシスルが出てくるよりも多くサプリメントが出てくるほどに、肝臓ケアで人気があるようです。

うかspice+では昨年かなり大量に育てて収穫まで頑張ったのですが、多忙すぎてタネを取り出すところまでたどり着くことができず、今年は、ハーブ教室の教材として、ほんの少しだけの栽培に留めています。

また、煮出してお茶として飲むよりも、アルコールに漬けて成分を抽出する〝ティンクチャー(チンキ)〟で摂るほうが手軽な気もするので、そちらの方向で商品がご用意できたらな、とも思っています。


だんだんと、マニアックなハーブのご紹介に進んできてしまいました。
しかもまだ、今朝の撮影の7分の1ほどしかご紹介できていないのですが、続きは次回。

どうぞお楽しみに。



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