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4月はじめのハーブたち(中編)

先日ご紹介した、この時期のハーブたちの様子。
少しマニアックなハーブからご紹介を始めてしまったので、今回は、メジャーな種類を集めてみました。


オレガノ(花薄荷/ハナハッカ)


冬には地上部はほとんど枯れてしまい、
春先に地際からきれいなグリーンの葉を出します。

トマトやチーズと相性の良いことで知られるオレガノ。
オレガノにもさまざまな種類がありますが、うかspice+で育てているのは、お料理で使いやすいグリークという種類。
そして、今回のシリーズでのご紹介はありませんが、気絶してしまいそうなほどに良い香りのスイートマジョラムも育てています。

オレガノはよく、「ドライにするほうが風味が際立っておいしい」と言われますが、私は生でもとてもおいしいなと感じます。
ほんの少量の葉っぱを、サンショウの葉っぱを両手のひらでパン!と叩くのと同じように叩いて香りを引き出してから、サラダなどに加えます。

「あら? なんの風味かしら? おいしい〜!」

そんなサラダに仕上がります。

オレガノは、葉っぱにも茎にもうっすら毛が生えています。

植物たちは、人間のような言語を持ちませんが、その姿形、成長の仕方、色などで多くのことを語っています。

有毛な植物は、本当はとても繊細。だから、傷つかないように、ふさふさの毛で自分自身を覆っている、なんて言われています。

オレガノは比較的強いハーブです。
だいたいどんな生育環境でも適応して元気に育ってくれます。
それも、この毛たちのおかげなのかもしれません。


コモンセージ(薬用サルビア/ヤクヨウサルビア)


3年目に入って少し老化し始めたセージ株。
根本から若い葉が出始めたので、もう少し勢いが出てきたら
切り詰めて若返りをはかろうと思います。

植える場所が生育の鍵を握る、コモンセージ。
水気の多い場所、多湿すぎる時期などでは、見事なほどに生きることをあきらめて土に還っていきます。

3年前の植え付け時から、2年目くらいまではとても旺盛に育ってくれていたセージの畝も、3年目を迎えて全体に元気がなくなってきました。
要因はいろいろ考えられますが、まずは、根本から出ている新芽を信じて、古枝を切り落とす〝強剪定〟をして様子を見てみたいと思います。

あとは、地中の空気と水の流れを良くするため、周囲に少し穴を掘ってみて、比較実験などもしてみるつもりです。

同時に、新しく株を更新することも行っていきますので、挿し木で増殖も忘れずに。

セージが育つ様子を見ていると、隙あらば老化しようとしているかに見えます。

生き生きとした状態を保ってあげられるよう、もう少し、セージたちとの対話が必要そうです。


フェンネル(茴香/ウイキョウ)


3月半ばの「春のハーブ栽培教室」で
種まきをしていただいたフェンネル。
草も一緒にたくさん生えてきて、苔まで仲良く仲間入りです。
中央の背の高い子がフェンネルの双葉。

フェンネルは多年草です。
うかspice+では、フェンネルとよく似たディルも育てていますが、ディルは一年草。

「フェンネルとディルはとてもよく似ていて見分けがつかない」と言われることがありますが、両方育ててみると違いがわかります。
双子ちゃんのお母さんが、それぞれをちゃんと見分けられるような感じでしょうか。

フェンネルは、葉っぱに艶があり、丸みもあります。色も鮮やかなグリーン。そして、葉っぱもお花も種も甘い。
ディルは、葉っぱに艶がないマットな感じで、少し平らな雰囲気。色も白身がかったような緑をしています。そして、味はスパイシー。

「近くに植えると交配する(ハーフになってしまう)ので離して植えましょう」などとも言われます。

本当に交配するのか試してみたいので、今年は実験で、フェンネルとディルを隣同士で植えてみようと思っています。

写真はとても小さな苗のフェンネルですが、生産用の畑には、3年目を迎えるフェンネルたちがわさわさと大きくなっていて、収穫して!と呼んでいます。
来週は、ハーブ栽培教室に通ってくださっている方向けに、生産用の畑でハーブ仕事を体験していただく「ハーブのお仕事DAY」もあるので、収穫も体験していただこうかな。


ブロンズフェンネル


美しい紫色のフェンネル。
普通のフェンネルと同じように使うことができます。
冬の寒さに当たると紫色が濃くなり、
暖かくなってくると少し緑色が見られるようになってきます。

これは、色味が大好きで育てているブロンズフェンネル。
その名のとおり、美しいブロンズ色をしています。

普通のフェンネルと同じようにお料理などに使うことができますが、味はやはり、グリーンのフェンネルのほうがおいしいな、と感じます。

うかspice+では、このブロンズフェンネルは主にブーケ用に使います。

繊細な葉の形と、このブロンズ色が、ハーブブーケに深みを加え、ぐぐっと引き締めてくれるのです。


チャイブ(蝦夷葱/エゾネギ・西洋浅葱/セイヨウアサツキ)


日本のアサツキより風味がまろやか。
ハーブバターによく使われるハーブですが、
洋食のみならず和食にも活用できます。

昨年の「秋のハーブ栽培教室」のクラスの最終回、1月の極寒の中で株分けをしたチャイブたち。
寒さが厳しい時は、土の中に居る方が温度が保たれるので、本来、掘り上げたりする作業はしません。
でも、教室の教材として掘り上げさせてもらって、バリバリっと株分けをさせてもらい、植え付けをしました。

「寒すぎて、もしかしたら枯れてしまったかも?」

なんて思っていましたが、やはりネギは強い。

ちゃんとかわいらしい新芽を出してきてくれました。

この子たちは株分けをして間もないので咲かないかもしれませんが、2年目の株からは、これからの季節、かわいらしいピンク色のポンポンのようなお花をたくさん咲かせてくれます。

お花もネギの風味がしておいしく食べることができます。

お花をお酢に漬けると、きれいなピンク色のハーブビネガーもできるので、チャイブは1株お庭に植えておくととても便利だと思います。

ガーリックチャイブ(韮/ニラ)


畝を立て直しするために
移植したニラたち。

お馴染みのニラもハーブの仲間です。
ガーリックチャイブなどと呼ばれますが、本来のガーリックチャイブとニラはほんの少し違うようです。
実物を見てみないと違いが自分の中に入ってこないので、その時が来ることを楽しみに待ちます。

うかspice+では、至る所にニラが植えられています。

夏野菜のナス、トマト、ピーマンなどの果菜類を植えつける時、野菜の根元にニラ(ネギでも可)の根っこを絡めて植えると、病気になりにくくなります。

昨年まで、固定種自然栽培露地野菜の宅配農家をしていたうかspice+では、夏場の果菜類の苗の数は数百本になります。
その株元にすべてニラを絡ませているので、必然的にニラが増え続けてしまうというわけです。

この時期は、柔らかい葉っぱがどんどん出てくるので、刻んでお醤油と一緒に瓶に漬け込む「ニラ醤油」にしたり、お味噌汁に入れたり、ニラ玉にしたりと、せっせと食べています。

うかspice+のニラは、昔、スーパーで買っていたニラには感じなかった、強い甘味があります。
自然に近い状態で育てると甘くなるのでしょうか。
他の方が育てたニラも食べてみたいものです。

ローズマリー(迷迭香/マンネンロウ)


山桜や、膨らみ始めて黄色く見える梨の花を背景にした
ローズマリー。
1株だけ、違う種類が混ざっていたようで、
見事な紫色の花をつけています。

メジャーなハーブを、と思ってセレクトしていたら、お料理に使うとおいしいハーブばかりになりました。
今回の「中編」は、クッキングハーブということで〆たいと思います。

こちらはお馴染みのローズマリー。

集中力をアップさせたり、エネルギッシュに動く力をくれるハーブ。
肌や髪にもよく、若返りのハーブとしても有名です。

ハーブの中には、血圧を下げてくれる作用が多いのですが、ローズマリーは逆に、少し血圧を上げてくれるような働きがあります。

交感神経を刺激してくれる、という感じでしょうか。

「それ!」と動き出すときに、力を貸してくれる。

もともと低血圧気味な私は、ローズマリーを日中に摂ると良いようです。

夫のてるさんは、毎朝、ハンドドリップでコーヒーを入れてくれるのですが、そのコーヒーにローズマリーをプラスしたハーバルコーヒーにしてくれることもあります。

朝からシャキ!っと元気になっておすすめです。

ローズマリーのハーバルコーヒーは入れ方に少しコツがあるようなので、また別の機会にご紹介しますね。

今回も7種類ご紹介しました。

残りはまだ24種類。
後編、そして完結編へと続きます。
(そうこうしているうちに「5月のハーブたち」の時期になりそうです)


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