【181】本の話:風野真知雄さん「わるじい慈剣帖」の謎!そして記憶力の低下について 2024.1.12
寄る年波のせいなのでしょうか。記憶力が低下する一方の毎日ですが、先日それを痛感する出来事がありました。
図書館で風野真知雄さんという方の「わるじい慈剣帖」という本をふと手に取って読んでみたら面白そうだったので1,2巻を借りました。
本の概要は、
隠居した元目付の愛坂桃太郎58歳は、ある日不肖の息子が芸者・珠子に作らせた外孫・桃子と偶然出会い、その可愛さにめろめろになる。でれでれのじじバカとなった桃太郎は、孫可愛さのあまり千五百石の家を飛び出し、珠子の住む長屋の隣部屋に住み始め、珠子の仕事中は、いつも桃子を背中に背負って子守をする日々を送るようになる。ところが、売れっ子芸者の珠子の周囲では何故か奇妙な事件が多発。可愛い孫を守るため桃太郎は親友朝比奈留三郎と共に事件の謎を次から次に解いてゆく。
という実に馬鹿馬鹿しい内容なのですが、風野さんは1951年生まれで私などとはほぼ同世代ということもあってか、孫のかわいいこと、妻との会話からうかがえる恐妻ぶりとか、わかるわかると笑ってしまったり、肩のこらない時間つぶしとしては最適だったので、借りた1-2巻はすぐ読んでしまい、次の週に続きの3-5巻を借りて、これもさらさらと読んで、また次の週に続きを借りようと図書館に行き、受付で本を返すと、その足で書架に直行しました。
見ると今返したばかりでまだ書架には戻されていないはずの3-5巻が棚に並んでいたのです。2揃いも並べるほど人気があるようには見えないし、変だなと思いつつ、どこまで借りたんだっけと、念のため5巻をパラパララとめくって確認してみたら全くその内容に覚えがなかったのです。おかしいな5巻はまだ借りてなかったかなと、4巻を見ても3巻を見ても全く読んだ記憶が蘇らないのです。
いくら何でも今週今まで借りて読んでいた本の内容を全く覚えていないなんてことがあるだろうか?一体何が起きたのか?とうとう自分の頭はおかしくなってしまったのだろうか?謎と恐怖と狼狽で頭の中が真っ白になりました。
とにかく、まず落ち着けと深呼吸して書架を眺めていたら、わかりました!
風野さんの「わるじいシリーズ」は「慈剣帖」と「秘剣帖」と二種類あったのです。
後で調べたら最初に出たのが「わるじい秘剣帖」全10巻でこれが好評だったので続編として「わるじい慈剣帖」全10巻が書かれていたのでした。
その2シリーズが書架の少し離れた所に並べられており、私は「わるじい慈剣帖」の続きを「わるじい秘剣帖」の並びで探していたのです。「秘剣帖」の3-5巻は読んでいませんから記憶が無くて当然だったのです。
細かく言うと、最初に借りたのは「秘剣帖」の方の1-2巻で、次の週に、何も気づかずに「慈剣帖」の方の3-5巻を借りてしまっていたのが間違いの元だったのでした。
家に帰って読んだ時に、なんかつながりがおかしいなとは思い、「慈剣帖」のタイトルにも、あれ、こんな字だったかなと違和感を持ったのは事実なのですが、基本的に一話読み切りなのでまあいいや、気のせい気のせいと、そのまま読んでしまっていたのでした。
その後、両シリーズとも全巻読み切りましたが、あの頭が真っ白になった恐ろしい瞬間は忘れません。
それにしても、記憶力は怖いほど低下していますね。昔読んで面白かった推理小説を読み直してみると、憶えていたのは面白かったということだけで、誰が犯人だったか、どんなトリックだったか全く思いだせずに最後の最後まで手に汗握って読んでしまうという状態が再三で、これなら面白い本10冊くらいをぐるぐる読んでいれば無限に一生楽しみ続けられるのではないかと思う今日この頃です。
*追伸
今日、この記事をまとめるために色々確認していたら、「わるじい義剣帖」という第3シリーズが開幕したというニュースを見つけました。図書館に並んだらまた借りないといけませんね。
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