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『キャロル』感想


こんな素敵な関係性を築けるのはいいなと思った。
キャロルとテレーズ、キャロルと親友。
女の人と女の人が出会って、自分の本当に進みたい道を自分で選択していく物語だと思った。
きっとテレーズはキャロルに会わなかったらずっとおもちゃ屋の販売員で、カメラマンなろうともしなかった。
キャロルもテレーズのことがあったから自分の生き方、自分とは何かを再確認し、生きたい道を選べた。
二人が出会う事が、その一人ひとりの個人にとってすごくプラスなるきっかけ、要因になっている。
とてもこの映画がいいなと思ったポイント。
これは二人が出会わなければならなかったこと。平行線の世界が交わって飛躍していった。

テレーズのパートナーもキャロルの配偶者も、相手に対して理解がなく、押し付けている。
印象的だったのが、テレーズが「私は一度も頼んでないけど、それが問題点だ」と言ったこと。相手のためにといいながら全く相手が見えていない。自分の都合しか考えていない。
その点キャロルとテレーズはどちらも自分の意志で選択し、相手に対して押し付けない。
相手の意志を尋ね、合意をとっている。

プレゼントも二人が楽しめるレコードだったり、化粧をしてあげるシーンとかすごい好きだった!

テレーズの成長が良かった。最初は男性に対してもパートナーに対しても、会社でも自分の意見を言う方ではなく、流されているような何かを諦めてるような印象だった。けど、キャロルと出会い、旅をして、愛することで、自分の気持ち、意志を発見していった。誰かを恋しく思ったり、憎んだり、何がしたいのか、自分で選択出来るようになった。最後のテレーズはメニューも何が食べたいか決められるだろう。

キャロルも封じ込めていた自分、をテレーズによって引き出されていった。妻でも母親でもないキャロル自身を。少女のように笑ったり、好きな人を愛したりできる人間だったのだと。最後の交渉の場面で自分を偽りたくない、それが何よりも本心だった。そして、ともに生きたいのはテレーズだということ。ずるい大人じゃなく、ホテルでの事を自分の意志だと言ったこと、すごく良かった。テレーズが罪悪感で泣いていたときに、もうキャロルは二人で生きていく未来を決意していたんじゃないか。何年かかっても会いにいくつもりだったんじゃないだろうか。
最後、テレーズが全部ケリをつけてキャロルに会いに行くところも良かった。

テレーズが電話をかけてキャロルが受けるけど、切るところが…会いたくて話したくて、でもそれは出来ないことで。というのがあのシーンにつまっていた。切られたあとに泣くテレーズ、キャロルも切ない…
アビーも素敵な女性やった…テレーズに自分を重ねていたのかもしれない。