⑩病気と日々の暮らし

退院してから20日間ほど経ちましたが、今のところ卵巣摘出の閉経による更年期症状は何も現れていません。
手術の傷の回復のために、退院後しばらくは5キロ以上の重い物は持たないようにね、と言われましたが、生後2ヶ月の次女がすでに5キロを超えていたので持たないわけにもいかず、傷をかばいつつ抱っこをしたりしていました。
退院して10日もすると傷口もほとんど痛くなくなり、触ったり押したりすると痛む程度だったので、長女と公園で遊んだり、家事を普通にしたり、友達と飲みに行ったりしました。
腫瘍でお腹がポッコリしていてずっと履けなかったジーンズも履けるようになりました。

私が入院していた棟は、女性外科の棟だったので、他の入院患者の方は何かしらの婦人科の病気の方でした。
実際、私がいた4人部屋は私以外の3人は卵巣がんや子宮頸がんなど、なにかしらのガンで抗がん剤治療を受けている方でした。
手術後2日目に、まだ傷も痛み点滴台を押しながら血栓予防のため入院フロアをウロウロ歩いていると、出入り口から40代くらいのキャリアウーマン風の女性が「お世話になりました!」と退院していくのを見ました。
素敵なワンピースに、入院にしては小さいボストンバッグを片手に颯爽と出て行った彼女は、今退院したばかりの人にはとても見えず、街に出れば普通に元気な人に見えるでしょう。
日ごろ街にいると、みんな当たり前のように歩いて、電車に乗って、仕事をして…でも元気そうに見える人でも、実は彼女のように病気と闘っているのかもしれないな、と当たり前のことに気がつきました。

電車の優先席に座っている若者も、もしかしたら具合が悪いのかもしれない、元気そうに見える人もよく見たらカバンにヘルプマークをつけているかもしれない、お腹が大きくなくてもツワリに苦しむ妊婦さんかもしれない…
人は外見だけではわからないし、同じ病気であっても苦しみは人によって違うので、思いやりを持ってすごさなくてはならないなと、改めて思いました。

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