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うごめき廻巻 【橘月】

Random thoughts and head trip [204]

暦的現在を綴る。

5月1日(水曜)

 ばっちり寝坊した。寝る前は眠くなかったんだけどな。
 今日は世界初の切手「Penny Black」が発行され、惑星Xが「Pluto」と命名された。どちらもいい名前だ。
 寝坊も「坊」なんて愛らしい字ではなく、クズらしい字を付けたら起きれるようになるのではないか。寝餓鬼とか寝愚呂とか。ちょっと強そうだな。

5月2日(木曜)

 スタバは抹茶ラテにかぎる。朝は雨音で目覚めたい。不在着信はいらない。野茂がメジャーで初登板する。メイウェザーとパッキャオが一戦を交える。性癖は文化と依存を運ぶ。信念は思いこみである。
 人は欠けた穴から世界を察知し、数寄の心でうごめいている。しばらくそのことについて考えてみる。

5月3日(金曜)

「まだですか?」
「うちの猫が体調崩しちゃって」
「むぅ、そうですか。いつ頃になりますか?」
「今日は江戸城が無血開城した日です」
「ほぉ、開城ですか」
「テーブルに着くまでは大変ですが、ついてしまえばあっという間です」
「ふむふむ、ではまた明日、うかがいます」

5月4日(土曜)

 さて、連休です。外は暖かいです。お出かけしたくなりますね。
 シカゴで労働者の暴動が起きましたね。メーデーのきっかけになりました。堀江謙一がヨット世界一周を達成したのも今日ですか。みなさん動きが活発です。
 生きるとは燃えることですが、作るとは醸すことです。ジクジクいきましょう。

5月5日(日曜)

 二日酔いの朝。だらりとスマホを眺める。
 熊本と大分の県境にB-29が墜落する。九州大学生体解剖事件というものがあったらしい。
 たくさんのわたしが落ちていく。カップ麺にお湯を入れ、ラベルに視線を貼りつける。うたかたの平凡が静かに溶ける。
 もう一眠りしたら調子が戻るだろう。

5月6日(月曜)

 朝のストレッチにはまっています。
 今日はラジオ体操が放送開始されました。LedZeppelinのジャケにもなったヒンデンブルグ号が爆発したのも今日。2つの共通点は「1」です。
 「1」ぽい色といったら何でしょうか?

 僕は白です。丘に立つ女性、包帯を巻いた浪人、オオカミの牙が浮かんできます。

5月7日(火曜)

 連休は用意にすべての時間を注いだ気がする。
 ベートーヴェンの第九にはどんな切実があるのだろうか。新治県に暮らしていた人は何を感じていたのだろうか。
 途方もない細部に全体があらわれる。察知と理解のあいだに本来がうつろいだす。本番がはじまるのだ。

5月8日(水曜)

 朝、僕は財布を探していた。家中をひっくり返し、ヒヤリとする脳内で昨日の行動を追跡する。ふと、車のダッシュボードに置いていたことを思い出す。ほっとする瞬間、思いがけない報酬も得る。
 「知識とは話である」ということの意味がトロリと脳に侵入してきたのだ。
 サラダ記念日がやってきた!

5月9日(木曜)

 『チ。』を担当していた編集者を密着する動画がおもしろかった。この漫画は当時ハマって読んでいた。担当編集者の佇まいは、漫画にそっくりだった。
 チ。を読むと、ガリレオを連想する。ちなみに、ガリレオの罪の誤りが認められたのは、裁判から350年後の今日である。
 出来事は重奏的に暦を育む。

5月10日(金曜)

 連休が過ぎ去り日常が慌ただしくなりだした5月10日。
 ボストン茶会事件、セポイの乱、ネルソン・マンデラ大統領就任と、歴史の鼓動も怒涛の高鳴りをみせてきた。
 春の陽気から夏の熱気へと空気が変わる。昨日の常識は通用しない。止まるわけにはいかないのだ。そんなことを、書いてみただけ。

5月11日(土曜)

 うおー、時間がない。ダラダラ日記を書いてる場合ではない。
 コンスタンティノポリスが落成!この時も携わってた人は大変だったろうな。時間がないとかそんなレベルではない大変さだっと思うが。
 うおー、時間がない程度で焦っていてはだめだ。

5月12日(日曜)

 束の間は終わり共苦と共感の同時感覚がはじまる。
 太宰治は3月より書き始めた『人間失格』を脱稿する。来月、入水自殺をする。
 太宰の奥には何があるのか。最近はショーペン・ハウアーのミットライトペシミズムについて考えることが多い。
 世界の意思は共苦として表象する。

5月13日(月曜)

 さて、次はどこへ行きますか。サブカルチャーからアカデミック、アートを経由して能楽へと向かいましょうか。
 終点は見えません。線路はどこまでも続きます。
 JR東日本が発表した「E電」は死語となりました。言葉はただの詞ではありません。
 小路を抜けて、果て。あれは何でしょう。

5月14日(火曜)

 鍛えられるなー、しかしやるしかない。未知に向かうときは痛みを伴う。
 学ぶとはコストが減ってラクになることではなく、次々と未知へさしかかることだ。
 チャップリンは1932年に発来日する。彼はどんな景色を見たのだろうか。日々逍遙。

5月15日(水曜)

 ずいぶん長いこと漫画を読んでいない。今日はミッキーマウス・笑点・コロコロコミックスが初登場した。狂気も洒落も幼心も、僕らはメディアと混ざり合っている。「あ、これいい」と感じたとき、それは何に似ているのか。
 物(霊)を語るのが物語。そこには語り部がいる。久しぶりに何か読むか。

5月16日(木曜)

 いやあ、眠いったらありゃあしない。「40までは寝ない方がいいよハッハッハ」と笑い声が聞こえてきたら、たまらない。
 芭蕉がおくのほそ道の旅に出たそうだ。旅は虚からはじまる。
 達人の薫りが鼻をつんざく。眠っている場合ではない。

5月17日(金曜)

 さて、怒涛の1週目ラスト。メタモルぜ。
 1792年の本日、ニューヨークですずかけ協定が行われた。後にニューヨーク証券取引所に発展する。輪は少しずつ広がっていく、か。
 めたもるふぉーぜ。めたもるふぉーぜ。
 さなぎをぶら下げて。

5月18日(土曜)

 ギアを上げないといけなさそうだ。ハッとした瞬間からなりにいく。熟成から即成へと切り替える訓練だ。
 今日打ち上げられたアポロ10号にはピーナッツのキャラクターの名前が名づけられた。スヌーピーが頭上に着陸する。

5月19日(日曜)

 地の違いによる憶測が釘をひん曲げる。抜けそこないが頭をチクチクする。 
 気分を変えよう。今日は白井義男が日本人初の世界王者になった日だ。
 白井はこんな言葉を残している。
 「殴られて殴るのは子どもでもできる。打たせないで打つところに、やっぱり妙技があるんでね」

5月20日(月曜)

 未知に放り込まれたときは、とにかく動くしかない。どこかで手掛かりが見えると、途端に楽しくなる。これは「着実」とは少し違う。「散歩」に近い。
 味の素が発売され、ジーンズの基となる特許が取得された。手がかりはどこにあったのか。さて、歩きますか。

5月22日(水曜)

 もやもやがつづく。もやもやは薄い霧をあらわす「靄(もや)」からきているのだろうが、ひらがなで考えると「も」は詠嘆、「や」は疑問を表わす。
 ライト兄弟が飛行機の特許を取得、アポロ10号は月面に接近する。歴史の偉業は、どんなもやもやがあったのだろうか。もやもやは晴れるだけが価値ではないもや。

5月23日(木曜)

 ジャンヌ・ダルクがブルゴーニュ軍に捕えられたのは今日か。ちょうどコテンラジオでジャンヌ・ダルクをやっているので、注意のカーソルがとまった。
 まだ最後まで聴いてないので詳細はわからないが、暦的現在としては、今の自分と重なっていると思うとおもしろい。こうやって巡っていくのだろう。

5月24日(金曜)

 はちゃめちゃなスケジュールが続いてるが、むしろ精神は落ち着いている。15日に完成した『続万葉集』も醍醐天皇の命でやり直しになったらしい。
 「立ち泳ぎ状態」に慣れてきたのかもしれない。
 しかし、積読が過去最高クラスに溜まっているので、もう少ししたら読みはじめよう。あ〜、楽しみだ。

5月25日(土曜)

 ぐー、最後の最後に緊急トラブル。全然落ちつかない。
 大阪夏の陣が開戦した。気温も上がってきた
 行動量が増えるとその分巻き込まれる量も増える。全然スマートではない。そもそもスマートよりもインテリジェンスでいたい。どこまで行くのだろうか。

5月26日(日曜)

 どんどん時間が流れる。パチンコ並みに溶けていく。
 今日から連載開始の『明暗』は漱石の未完の小説だが、後に水村美苗が『續明暗』に仕立てる。抜群のもどきだ。
 漱石は則天去私を語る。流れに身をまかせ私を去る境地だ。近代個人主義の轟音を浴びた漱石は、なぜこの言葉を残したのだろうか。

5月27日(月曜)

 心配と不安の違いはどこにあるのだろうか。心配は先行きや誰かを気にして心を悩ますことで、不安は安心ではない状態とある。
 心配は間主観、不安は実存とみた。つまりドラクエは不安の物語だ。
 今日はドラクエ1作目の発売日!

5月28日(火曜)

 過去の自分の行動の結果がよくない方向に出たときが一番後悔する。実際の要因はなんであれ、だ。
 しかし未来というのはどうなるか分からないもの。失った未来は得られた未来との両替が成立しているといえる。
 パリ・コミューンは2ヶ月で瓦解する。だから何だという話だが。

5月29日(水曜)

少し停滞。たまにある。機嫌をなおす。
コインのふち。一喜一憂。何かが削れる。
コンスタンティノープル陥落。
次は何をするか。苗を植える。
歩くとはこうも生々しい。

5月30日(木曜)

そろそろデジタルデトックスしないとまみれ過ぎてる気ガス。2ちゃんねるが開設され1日1万人以上が流れ込む。今となっては牧歌的な熱狂。現在は熱狂が加速し過食し加飾され、あっという間に過蝕されている。目が曇りだす前に。


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