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DAIKIN INDIAの“Best of Best”な労働環境を考える

こんにちは、UGIPで昨年度インドにてインターンを行いました、小坂です。この記事ではインドチームの2週間にわたる挑戦を感想を交えつつ紹介したいと思います。

どんな2週間だったの?

インドチームは当時1年生であった僕と2年生の先輩の二人で構成された、比較的若く少人数のチームでした。「インドにおける人材マネジメントの調査と提案」というテーマの下、1週目をデリー周辺、2週目をラジャスタン州の工業地帯に赴き、現地社員へのインタビューを通じてDAIKINの取りうる理想的な労務管理を考えることがミッションでした。

しかし、大テーマこそあったものの、活動内容は1週目と2週目で大きく異なりました。また、基本的にインターンの多くを移動やインタビューが占めてんてこまいの毎日でしたが、空いた時間や休日には観光地に訪れ思う存分にインドを満喫するなど、終わってみればあっという間の充実した二週間でした!

それでは各週の活動内容を具体的に紹介したいと思います!

インド人と日本人は相互補完的!?(1週目、グルガオン&デリー)

1週目に行った活動は大きく分けて2つです。

1. デリー市内のDAIKINの直属の販売店やディーラーの方々、COEs(若手の育成を行う施設)へのインタビュー
2. グルガオンのDAIKINインド本社にてホワイトカラーのDAIKIN社員を対象とした調査

1.デリー市内のDAIKINの直属の販売店やディーラーの方々、COEs(若手の育成を行う施設)へのインタビュー

各訪問先では、巨大な人口を抱えるインドにおいて、DAIKINがいかにサービス協力店網(メンテナンスなどを行う協力店)を拡大させ商品購入後も顧客との関係を構築するのかを目の当たりにしました。

インドでは電力供給が不安定で、道路が舗装されていなく輸送時の衝撃が大きいなど現地特有のインフラ事情があり、地域によっても使用環境は多種多様です。そこで現地事情を反映した細かい品揃えの製品をインド現地にて開発・販売し、サービス協力店の拡大により顧客の満足度を高める。この徹底的な現地化こそが、DAIKINのインドにおける強さであり、①現地事情をよく知ること、②展開するためのネットワークを地道に構築することの大切さを身にしみて感じました。

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ED(Engineering Dealer、エアコンの販売・メンテナンスを行う方)を訪問した時の写真。DAIKINのインド事業に携わっていることにとても誇らしげな様子だった。

2.グルガオンのDAIKINインド本社にてホワイトカラーのDAIKIN社員を対象とした調査

国が違えば共に働く人種や雇用制度が変わり、労働への価値観も異なります。インドでは採用時に専門能力が重視される傾向があり、従業員の仕事がJD(Job Description、職務内容が詳しく定められている書類)に明記されたジョブ型雇用が取られます。

これは職務範囲がより総合的で主体性が求められるメンバーシップ型雇用の日本とは大きく異なり、職務の範囲が限定的な雇用形態です。その結果インド人は細分化された特定の職務しか行わないため、異なる部署間の連携が必要なビジネスの局面では仕事が停滞する傾向があります。

ここで望まれるのは、「スペシャリストのインド人が職務をこなす過程で生じた問題をジェネラルな観点からの日本人が取り持つ」という相互補完的な関係であり、柔軟性と助け合いの精神をお互いに育み、インド人と日本人の協働的な対人関係を時間をかけて築いていくことが必要だと感じました。

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休日に訪れた世界遺産クトゥブ・ミナール。この後ぼったくられるとはつゆ知らず写真を撮ってもらっている。

怒涛のヒアリング調査(2週目、ニムラナ工業団地)

突然ですが「労働争議」と聞いてあなたは何を思い浮かべるでしょうか?おそらくピンと来た人は多くないと思います。日本では1960-70年代に賃上げ交渉が活性化したことに伴いストが勃発していましたが、今となっては落ち着きを見せています。しかし、今まさにインドでは当時と同じ状態が起きているのです。

インドの労働法は労働者保護に厚く、政党が自らの影響力を拡大するためにストライキなどの労組活動を扇動するケースが見られます。これはDAIKINの工場周辺も例外ではありません。

そこで僕たちはDAIKINの取りうる有効な労務管理のあり方を考えるために、ラジャスタン州ニムラナ工業団地周辺の外資やインド現地の製造企業に聞き取り調査を行いました。具体的には食品、アパレル、重化学工業など多岐にわたる分野の製造会社合計7社に訪問し、作成した質問票をもとに各企業の雇用形態、採用形態、その企業が抱える労使問題とその対処法、組合への向き合い方などを調査し、DAIKINと比較を行いました。

その結果全体的な印象としては、近年進出した外資や日系企業は比較的労働法を遵守している一方、現地のインド系企業は様々な労使問題を乗り越えていく中で政府との関係を構築していった結果、労使問題が落ち着いていると感じました。労働者側と企業側の信頼関係を構築し賃上げや待遇改善には限度があることを理解した上で、労働者・企業・政府が一体となって相互理解が達成された関係を粘り強く築いていくことが重要であると思いました。

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訪問先の企業でいきなり子どもたちの前で話す様子。予定外のこともこのプログラムの醍醐味でした。

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対照的なインドの路上とショッピングモールの光景

是非インドへ!

バックパッカーの聖地とも言われるインド、まず日常生活の全てが日本と異なり以下のような新鮮な(たまに大変な笑)経験ができます。

● 格差社会を体感(豪華なショッピングモールから少し行くだけで路上生活者がいます)
● 専用ドライバーさんがつき、会社の行き来や休日の移動は自由
● 基本、生野菜はなし
● その分カレーがめちゃくちゃ美味しい
● 街全体からエネルギーを感じられる(人々の生活が目に見えて分かる)

これらの経験からいかに日本にいる自分が恵まれているかを感じたのはもちろん、世界は今もこんなにも動き続けているのだと身が引き締まる思いでした。インド人は、愛国心が強く勤勉で、なんとか成功してやるぞというハングリー精神が強いです。1日1日を必死に生きている彼らの姿から受けた刺激は強烈で、これはインドで働いたからこそ体験できたことだと思います。

また、現地では常に移動→英語でのインタビュー→(工場見学)といったなかなかのハードスケジュールでしたが、普段は見られない製造の裏側を知ることができたり、体力・語学力やコミュニケーション力といった実社会で必要となる要素を1年生ながら確かめられたことはとても貴重な体験でした。

まだインドに行ったことのないそこのあなた、是非ともUGIPに応募してインドでインターンをしてみて下さい!きっと一生忘れない自分の糧となるでしょう。では!!

アルムナイ紹介

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(著者近影。本場のインドカレーを堪能中)

小坂涼
東京大学文科一類→経済学部。地域滞在型アジアチーム。UGIPを通じ多くの人事担当者にインタビューを行った経験から、経営や人事に魅力を感じ経済学部に進学。普段は英語塾のバイトやテニスサークルでギャグを飛ばしている。


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