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テュルク諸語文法の概説書として何がなんでも持っておくべきこの1冊はコレだ

テュルク諸語のことはテュルク諸語で書かれた本で

先日、こんな記事を書きましたわな…

で、他にはないんですか?と思う方もおられるかもしれません。そりゃそうです、ユーラシア大陸の広範囲で話されている言語集団なのですから。それで、テュルク諸語に関心のある国の一つとして上がってくるのが、トルコ

となれば、トルコ語で出版されている本で、あるでしょうと。テュルク諸語関連本が、と。

はい、その通りです。あります。それも多数
個別の文法書も雨後の筍の如く。できるだけトルコにいる間に、私も買って集めていましたが、おそらく全体の半分も抑えられていないのではないかと思います(もっと少ないかも。トルコを侮ってはいけない、経済的にはいろいろ大変ですが出版市場は個人的な感覚としてもかなり活況と思えます)。

さて、トルコ語が読めるというのが前提だとして、この一冊はどうしても持っておくべきというのはどれですか、と聞かれましたならば、まず上がってくるのはやはりこれでしょう…

Ercilasun, Ahmet (ed.) (2008) Türk Lehçeleri Grameri. Ankara: Akçağ. 

すみません、またしても書影のためだけにリンクを貼ったのは貼ったのですが、この本をamazon Japan経由では買うべきではありません。値段設定、高すぎるなこれ
いくらなんでもこれはいかんです。トルコのウェブサイト経由で買うべき。
たとえばこちらで。 送料が高くつきますが、それでも上記リンク先から買うよりは数倍マシなはずです。
https://www.kitapyurdu.com/kitap/turk-lehceleri-grameri-ciltli/99143.html

1300ページを超える分量というのがエグい。主だったテュルク諸語の文法が伝統的な記述のスタイルではありますが、かなり詳しく書かれています。昨日言及したノガイ語ももちろん収録されていて、今一生懸命該当ページを眺めているところです。

文献集めは底のない沼

というわけで、本を買うのも大変なのです。日本語はもちろん、英語もトルコ語のも、あるいは各国で出版されたものもできるだけ。

そんなの、一個人で完結すると思いますかっつう話なんですよね。無理ゲー無理ゲー。

なもんで、この世界はいろんな人と一緒に追いかけていくということになるわけです。それは重々分かった上で、ちょっとでも使えそうな本、貴重な本があればとにかく入手しておく、ということをこの20年くらいずっとやっています。

ほんとに、トルコの場合は特にそうなのですが、書店などで目にした瞬間に手に入れておかないと、あっという間に絶版になってしまうということがしょっちゅうあるのです。

実際、上記の本も一時期はトルコの主だったオンライン書店で購入可能でしたが、今検索かけてみたらだいぶ扱うところが減っていましたからね…

日本語版マダー?

日本語でもそろそろ、こういう感じの一冊が欲しいですよね。トルコ語はともかく、テュルク諸語の比較ができるような1冊。

記述の精度や方法論は別にしても、さすがトルコ、テュルク語学はある意味生命線だと彼らは認識していますから、各テュルク諸語の研究者の層が厚いですわな。やはり。

日本も健闘しているとは個人的に思うのです(たとえば国際トルコ語言語学会議というのが隔年で行われるのですが、毎回5〜6名は日本からの発表者がいます)。しかし、こういう全体的なものをやろうと思うと、さすがに人手が足りない(まあ、増やしたら幸せになるかというとたぶんならないんですけど)。こういうのが実現する日は来ますかねえ。来たらいいなあ。


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そんなことよりトルコ語ちゃんとやらんかい、と叱咤激励しているように見えるぴの吉

一言でまとめると

ということで。
テュルク諸語全体に興味があるかもとか思い始めてしまったそこのあわれなあなた!トルコ語で書かれた本もチェックしておかないと、このビッグウェーブ(あるのかそんなもん)に乗り遅れちまうぜ!!?








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