大学での「実践的な学び」

「実戦的な学び」を一つのウリにしている大学を最近では多く見かけます。
編入受験生の中でも、こうした「実践的な学び」という謳い文句に惹かれて当該大学を目指す人も多いように思います。志望理由書にも、当該大学を志望した理由としてその点を強調する受験生もいます。

では、ここでいう「実践的な学び」とは何をさしているのでしょうか。
分野にもよりますが、受験生は「実習」を数多く取り入れたカリキュラムを提供しているところに魅力を感じているのではないでしょうか。

しかし、(少なくとも難関と言われる)大学が「大学案内」などに記載している「実践的な学び」は(安易な考えの)受験生がイメージしているものとは全くと言っていいほど違います。あくまでも、大学での「実践」です。

わかりやすく専門学校での「実践」と(難関)大学での「実践」との違いを比較して説明します。専門学校は、大学等の研究機関で研究しつくされ、結論が出たものを絶対的な「正解」として当然のこととして教えます。それをもとにした反復を通して職業的なスキルの修得を目指す機関です。これに対して大学は、社会で「当然」とされているもの、あるいは一応の「正解」とされていることに批判的に観察し、考察し、真理に近づくことを目指します。

こうした目的の違いから、大学での「実践」はこれまでの研究成果がどのようなものか、それらの研究に「基づいて」実際にやってみよう!理論通りの結論が出るか、それとも違う結論が出るかも?違っていたとしたらそれはなぜ?本当に同じ条件?なぜ?なぜ?ということの連続です。言って見れば、料理を「科学」としてとらえるか、それとも「料理教室の延長」としてとらえるかの違いです。

もちろん、専門学校と大学のどちらが良い悪いという話ではありません。目指している方向性の違いです。この点を理解せずに、「実践的な」学びができるから貴学を志望しましたと書いても、ここでいう「実践」とは何を指しているのかについての疑問が残ります。

特に難関大学への編入を志している人は、「実践的な」学びについてよく考えてみてください。

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