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BPOを導入しても意味がない? 利用方法や課題について解説

BPO導入を経験されている会社様で、あまり意味がなかったなどネガティブな意見を聞くことも多いため、今回はその点について説明していこうと思います。

企業が業務の一部を外部委託する「アウトソーシング」はすでに多くの企業が導入しており、多くの新たな雇用も生み出しています。
しかし現代では、単純な一部業務だけでなく重要な業務プロセスの構築から遂行に至るまでをまるごと外部委託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が主流になりつつあります。

今回は、BPOでは具体的に何が達成されるのか、いわゆる「アウトソーシング」とは異なるどのようなメリットがあるのかを理解していきましょう。

BPOの導入目的

企業がBPOを導入する主な目的は「コスト削減」と「業務効率化」です。BPOがこれらをどのように達成できるのか、説明します。

コスト削減

BPOは、人件費という業務において必ず発生するコストを削減します。

正確に言うと、アウトソーシングによって人件費自体は発生していますが、それが「固定費」ではなく「変動費」に変わります。

必要な部分だけ人件費が発生することになるため、結果的にコストが削減されます。

特定のビジネスモデルにおけるプロセスをすべて社員が遂行するとなると、社員に対しての給与支払いという半永続的なコストが発生し続けます。

そこでBPOを導入すると、発生するのは外部への委託費用のみとなり、固定化されていた人件費分を大幅にコストカットできます。

業務効率化

BPOは企業の業務効率化にも貢献します。

いわゆるアウトソーシングは、社員でなくても行える業務の「一部」を外部委託することで負担が軽減されますが、BPOでは一つのプロセスにおける構築から遂行までを一括で外部委託するためさらに負担が軽減されます。

それにより、社員が本来行わなければならないメインの業務に集中できます。

これは単に「行う業務の量が減る」ことだけを意味しているのではありません。

自社にとってはノウハウがない専門性の高い業務を外部のプロが代行してくれるため、提供する商品やサービスの質の向上も見込めます。

BPOによる業務効率化は、結果的に顧客満足度の上昇にもつながるのです。

BPOは意味がないと言われる理由

今まで挙げたBPOのメリットは、BPOが正しく運用された場合に享受できるものです。

次は、BPOが「意味がない」と言われる原因にもなりうる、3つのデメリットについて説明していきます。

業務が整理できてない状態で依頼している

BPOを導入することで業務の効率化が「進み」ますが、下地がない状態で重要な業務を外部に委託してしまうと、社内で全て行っていた時よりも確認作業やコミュニケーションに時間と労力が取られるようになってしまう可能性があります。

BPOはそれを導入する目的が明確でなければなりません。業務を効率化することで得られるものを把握しており、それによりどれだけのコストカットや利益向上が見込めるか計算されていなければ意味がないのです。

自社の整理がまったく行われていない段階で他社に外部委託を行ったとしても、新たに余計なコストが発生するだけです。

BPOを導入するには事前に委託先となる企業との打ち合わせを行い、細かい部分まで詰めておく必要があります。

ビジネスの一部、いわば自社を形成しているピースの一つを外部企業に預けるため、事前準備に時間やコストを掛けることができないのであれば、フロー整理から支援してもらえる会社を選ぶとよいでしょう。

管理する人材が社内に必要になる

BPOを導入することで、BPOそのものを管理する人材が必要になります。

社員が一つの業務プロセスをすべて担当する場合は、進捗を直接確認したり修正が必要になってもすぐに対応できます。

しかし外部に委託することで空間的・時間的なコミュニケーションギャップによるロスが生まれ、ギャップを埋めるための人材が必要となります。

その結果、完全に手離れができず、余計な工数が発生してしまうかもしれません。

このロスを避けるためには、ただ外部企業に丸投げにするのではなく、あくまで自社の一部を切り出すような委託を行う必要があります。

プロジェクトの進捗等を確認する人材を新たに設ける場合も、社内で行っているのと変わらない円滑なコミュニケーションを達成するための事前準備が必要不可欠です。

委託範囲が限定されている

BPOでは、企業にとってコアとなる最重要業務までも委託することはできません。

なぜなら、外部に委託する段階で少なからずセキュリティリスクが発生するからです。自社が行う業務の一部を丸ごと切り出すということは、いくらかの機密情報や個人情報までもすべて委託先の企業に預けるということです。

万が一でも委託先から情報が流出した場合は自社も損害を被ることになりますし、委託元として責任も負わなければならないことを銘記しておくべきです。

BPO導入前に検討すること

BPOは事前準備が非常に重要であるという点は今取り上げたとおりですが、実際にどのようなことを検討する必要があるのか、説明していきます。

業務内容を精査

BPOを導入する時点で、外部企業に「どの範囲までの業務を委託するのか」を細かい部分まで精査しておく必要があります。

それにより業務がブラックボックス化して手が及ばなくなることを避けられ、最重要な業務は外部委託しないということを再確認できます。

BPO業者の選定

BPOは「どの企業に委託するか」が非常に重要です。

単なるアウトソーシングではないため、BPO業者の専門性や信頼性、実績や企業規模など様々な点を比較考慮したうえで決定します。

自社が批准するセキュリティ体制を満たしているかどうかも必ず確認し、本当に予算をかけるに値する委託先なのかどうかを判別します。
BPOは予算も重要です。

単純作業をアウトソーシングする場合とは異なり、専門性が高い業務の外部委託は費用が高額になりがちなので、委託範囲と料金を細かく比較し、掛けるコストに見合ったメリットを本当に得られるのか精査しましょう。

まとめ

現代ではさまざまな分野において人材不足が叫ばれていますが、企業としての人材不足を解決する一つの有力なソリューションがBPOです。

これから導入を考えている企業は得られるメリットだけでなくリスクにも注目し、BPOによる利益を最大化させるための事前準備を怠らないようにしましょう。