見出し画像

心の世界

テオドーロの心の世界⑵

探し回った彼女の事は、人づてに伝わって、情報をくれる人が電話番号をくれた。かけるタイミングを模索していたが、ある晩向こうから連絡があった。直接話せなかった。それほど苦しんでる。生きづらい現状だと伝えられたら 自分のことを考えている余地がなくなってしまった。一瞬、目の前は真っ暗になり、頭の中は真っ白になった。

こんな僕が 何が出来るだろうか、頭を巡らせても、巡らない頭で必死に思い付いたのは そっと、そっとしておいてあげなければ。と思った。


苦しかったのは自分だけじゃない。もっと苦しい気持ちの中で、迷走する日々だとしたら あまりに悲しい。


終止符を打つか、と呟いた。

前の別れは引きずった。何年も、悲しみを抱えた。それは、何も告げられずある日突然目の前からいなくなり、どこをどう探しても見つからなかったからだ。それからずっと探し続け、気持ちを一冊の本にしてしまった。

幼稚で拙い詩集だけれど何かしなければおさまらなかったからだ。いつか再会したらあげたいと思った。

ずっと、考えた。
何年も、僕は片思いだった。記憶の病気で苦しんでいた彼女の、もっと苦しい気持ちや今を、何故わかってあげられないのか?これ以上、欲しい、欲しいって言うと、彼女は壊れる。

このことに自分でハッとした。今までの自分は独りよがりで、わがままだった。執着心の何ものでもないじゃないか。彼女といること、彼女の素敵な詩を読むこと、二人の時間を満喫すること、美しい言葉で綴り合う人生、そう、彼女こそが僕の魂を揺さぶり、鷲掴みにした天才詩人だったから。

僕は、再び会えることを心から望んでいた。だけど、今、その考えは少し、未来におあずけにしよう、彼女を見守り、少しでも良くなって、僕に会いたくなったら、その時が一番いいタイミングだから。諦めたわけじゃない。けど、路線変更。

明日 パリに発つ。


夕焼けるひこうき雲


空に

心が空に映ってしまうのは
今に始まったことじゃない

その空が
悲しいのは 
その心のせいじゃない

それは
あなたが いなくなったから

心の在りか
それは空じゃない

それは あなたと言う 愛そのもの

それを
なくしたから

2024/02/29  teo


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?