決算ウォッチ JIA ユニオンツール 博展 unerry

JIA

[企業概要]
金融投資会社。主力のオペレーティング・リース事業は航空機や
コンテナを対象としたリースのアレンジメント(JOL、JOLCO)。

[決算概要]
前期比で売上130.4%+、営利258.6%+、経常529%+と大幅伸長。
オペレーティングリース事業が販売額73.2%+と好調。
為替差益7.6億を計上していることから営利比較で経常が増えている。
今後、円高局面になったときに為替差損が出る可能性に注意。
営利ベースでの進捗率は59.2%。

航空機リース、相次ぎ大量発注 客回復に生産追いつかず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB188VJ0Y4A310C2000000/

現在、航空機需要の増大に供給が追い付いておらず、航空機リース料は上昇している。
JIAはファンド組成、管理運営などのフィーを収入としているため、
直接的にリース料上昇を甘受できるわけではないが、事業環境的に追い風が吹いているのは間違いない。

ユニオンツール

[企業概要]
産業用機械工具メーカー。切削工具。
半導体、車載向け。売上の7割がPCBドリル。
電子部品同士を繋ぐ際には、電子回路基板に「導通穴」と呼ばれる
穴を明ける必要があり、その加工に使用されるのがPCBドリル。
PCBドリルを世界展開しているのは同社しかない。
有報の保有株式に取引先との記載のある企業は以下。
旭ダイヤモンド工業、NaiTO、イビデン、富士精工。

[決算概要]
1Qから上方修正。
決算短信には
「生成AI関連市場の好調な推移に連動し、データセンター向けパッケージ基板、 および高多層基板の需要が拡大しました。 その結果、高付加価値工具の需要に繋がり、高い利益率を確保することができました。」

上方修正後の経常の進捗率は28.1%。営利は25.9%。
営業差益を含んでいることから、経常の進捗率がよくなっている。
短信の文章から、今後の業績に強気なところが見て取れる。
今後の上振れはまだまだありそう。
AIデータセンター向け需要は今度数年にわたって需要が継続しそう。
2024年5月に第3工場が竣工。生産能力は増大するが、減価償却費も増える。

[株価バリュエーション]
過去の業績推移は工作機械ということでシクリカルな印象。
ただし、過去20年ほどで赤字になったことはなく、リーマンショック時ですら黒字維持している。
その結果、キャッシュが積みあがっており、現金が200億ほど。ほぼ無借金。
株価は今年に3000円台から5000円と急騰している。
15年からのボックス相場を上抜けた形。
成長企業といった印象はなく、あくまでシクリカル銘柄としての評価になるだろうから、
今後の業績拡大で割安になったとしても、売り時が難しそう。

[リスク]
事業を成長させていこうという意識が薄い。

博展

[企業概要]
展示会出展・イベントプロモーション、商業施設・店舗・ショールームの空間マーケティング活動。

[決算概要]
季節性として1Q、4Qが強く、2Q,3Qは閑散期。
今回の1Qは前期比で売上5%+、営利14.4%+。
前期(9ヵ月の変則決算)の3Qと比較すると売上、利益ともに大幅減で見栄え悪い。
また、強いはずの1Qで進捗が23.8%というのは不安が残るところ。
利益面での進捗が良くないのは、チャレンジングな大型案件を入札したためとのこと。
この大型案件が今後の受注につながれば、大きく成長していけるだろうが。
一方、受注残高は59億円あり、またその80%程度は2Qの売上に寄与するとの発言があった。
とすると、本来、閑散期の2Qに1Q以上の売上が計上されることになる。
利益率がどうなるのかについては、不明だが、見た目よりも今後に期待できる決算との感。

[株価バリュエーション]
成長企業として見れば、現在のバリュエーションは安く見える。
もっとも、ストック型のビジネスではなく業績にブレがあることや、
景気動向に大きく業績が変動することを考えるとそこまで高いバリュエーションはつけられないのも確か。
景気が悪化したら、真っ先にイベント系の予算は削られるだろうし。

[リスク]
Xで煽られている。

unerry

[企業概要]
ビーコンを利用した人流分析、またそれを利用したマーケティングを提供。
前期比で売上、粗利ともに大きく伸長。
3Qは季節性で強い四半期ではあるものの、それを割り引いても、かなり順調な業績に見える。
各事業も好調維持。ただし、海外事業は伸び悩む。
利益面では通期予想を大幅に上回っているが、4Qで大幅に赤字を掘るわけではなさそう。
中期計画では28年6月期に売上100億円を謳っている。今期は28億円。
説明資料にはテレビでCMを見た視聴者がスーパーで実際に、その商品を買ったかどうか
までわかるらしく、かなり実用性のある分析ができるとの印象を受けた。

[株価バリュエーション]
明らかに割高。ただ売上が36%超で伸びていけば、利益率はそれ以上に伸びていくだろうから、 成長性次第で、来期、来々期のPERはかなり安くなる可能性はあり。

[リスク]
国の個人情報収集に規制が入る可能性。
また、アップル、グーグルがスマホでの情報収集に規制をかける可能性。

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