税制適格退職年金の廃止がもたらした影響
日本においては、比較的設立年が最近でなければ、退職金を原資に企業年金に移行するケースがほとんどです。
ベンチャー企業においてはそもそも退職金がない!ということが多いと思います。
ベンチャー企業はどちらかといえば、ストックオプションで動機づけるケースがほとんどかもしれませんね。
すでに企業年金制度を廃止する企業が多くなってるということを取り上げました。
なぜここまで減少したのか?
その理由は「気軽に入れる」企業年金制度がなくなったから、にあります。
この気軽に入れる企業年金が、適格退職年金でした。
この適格退職年金は、2002 年の確定給付企業年金制度スタートに伴い、適格退職年金の新規制度発足はできなくなりました。
そして、2012年年 3 月末に廃止されました。
この適格退職年金がどのようにお手軽か!というと、当時のもう一つの制度であった厚生年金基金のように基金を設けなくてよい、ということにあります。
金融機関と契約して、積立金を法人税法上の要件に従い積み立てていけばよいだけなので、ラクチンなわけですね。
お手軽な制度なので、設立コストが低い点もよかったわけです。
一方で、財政運営については、特に財政検証についてはほとんど規定がなかったために、積立不足が悪化する事態となりました。
当初予定していて5.5%という運用利回りを達成できなくなったわけですが、多くの企業において、膨らんだ積立不足に対して有効な手立てをすることなく放置されていたわけです。
お手軽ゆえに中小企業、いわゆる規模の小さな企業でも加入していた適格退職年金。
廃止後の受け皿となる制度がなかったことが悔やまれます。
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