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適正に減損は行われている?

減損の判断は柔軟に?

というような話が出ましたが。


決算発表シーズンを迎え、多くの企業での減損事例が目立ってきました。

三越伊勢丹ホールディングは減損を行っていますね。




今回の件で直接的に影響を受けている業種、特に商社なども減損を計上しています。

減損の仕組みは?こちらにも書いているように、保有している固定資産の価値が著しく下落している場合に計上しなければなりません。


企業は将来の利益獲得のため、固定資産への投資を実施します。その場合、投資した案件の中には当初の予想に反し、資産の市場価格や企業収益が低下して投資額の回復が見込めなくなることがあります。
このような状況で行うのが減損処理です。つまり、減損処理は一定条件下で、固定資産の帳簿価額を減額するのが目的です。


今回減損が相次いでいることをどのように受け止めればよいのでしょうか?

一つはコロナショックの大きさ。

減損の兆候の有無を判断する基準として、

営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスの場合

使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合

経営環境の著しい悪化がある場合

市場価格の著しい下落がある場合

などがあります。

つまり、企業経営の状況(企業内部の環境の変化)、外部環境の変化により保有している固定資産に著しい下落兆候がある場合、減損テストを行い、減損の有無を確認し、必要な額の資産の価値の切り下げを行わなければなりません。

まだどの企業が減損を行っているか、額がどの程度か、など調べ切れているわけではありませんが、比較的多くの企業が減損を計上している印象があります。

多くの企業が減損を計上していることは、良いこと(経営成績にとっては)とは言えませんが、適正な会計基準を適用し、処理していることは良いこと(会計基準に準拠した処理を行っている)と言えます。

経済危機を心配する立場からは、損失をあたかも隠したように処理したほうがよい、と思われがちですが、価値が下がったのであれば、そのことを速やかに投資家を含む利害関係者に伝えることは真摯な情報開示であり、結果的に企業に将来的に良いリターンをもたらし、経済にもプラスの影響があるのではないでしょうか?

もちろん、何が良くて何が悪いのか。そのことを証明できる段階にはありません。

ただ、現在、どの企業も新型コロナの影響で苦しい状況が続いており、そのことを真摯に報告することは透明性の高いディスクロージャー制度を維持することに繋がる。そのことは間違いないでしょう。

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