自律性を促進するための枠組み:内在化を支援する(4)真の自己を見つける大切さ

内在化のプロセスにおいて、おそらく多くの人が直面化するのは、建前の自己、偽りの自己への対応なのではないでしょうか。

内在化には、「受入れ」と「消化」があると先に触れました。

「受入れ」は相手の規範、ルール、考え方をある意味で「丸のみ」するわけですから、それが本当にとって自分の考え方と相反することがありえます。

と考えるならば、「消化」というプロセスを経て、納得した上で、いやもっと言うならば、進んでその事柄を取り入れていく必要があると思います。

これは「親」の影響が強いかもしれません。

「親」から求められた価値観は強烈で、従わざるを得ないという気すらしてしまいます。なぜならば、子どもにとっては親は絶対的な存在であり、逆らうことが出来ないような気がするからです。

ですが、そこを乗り越えて初めて、消化という形での「内在化」に繋がり、それが自律性を高めることに繋がっていきます。

ここで重要なのは自己の行動に責任を伴わせることです。

「上」から統制されてやらされてことについて、自己で責任を負うことが出来るでしょうか。いや、出来ないと思います。失敗したとしても、心のどこかで「言われたことだから仕方ない」という思考に繋がるのではないでしょうか。

また「上」からの統制下にある人には、こうした決断に対して責任を取れないだけでなく、「他者」の目も気にするようになるでしょう。つまり、相手を喜ばせるためにこうした決断をしている訳ですから非常に他人の目を気にするような傾向もみられると思われます。

子どもが、親を喜ばせ、愛を獲得しようとするように。

偽りの自己ではなく、真の自己へ、移行していかなければなりません。しかし、それには当然のことながら痛みを伴います。なぜならば、偽りの自己に生きていたということに気づくことには大きなストレスが発生するかです。今までの自己を否定する、ということはこれまで統制していた「上」(親、教師など)を否定することに繋がります。

真の自己を形成する上で、それを手助けするメンターが必要なのは明らかでしょう。重要なのは、自分を承認し、受け入れてくれる関係性を他でも気づいているか、ということなのだと思います。

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