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読書記録②「本郷」の形成と建築群

こんにちは。本日は新年の抱負通り、読書記録を書こうと思います。固い内容の本は読み終えてないので、まずは軽めの本から。東京大学キャンパス計画室編 『東京大学本郷キャンパス 140 年の歴史をたどる』(東京大学出版会、2018)を読みました。

東京大学は本郷、駒場、柏に主にキャンパスがありますが、この本は主に本郷キャンパスの歴史について扱っています。(赤門や安田講堂が有るところですね!)
この本の面白いところは大学成立後からの歴史ではなく、もっと昔から「本郷」という土地に着目して歴史が語られているところです。
まずは縄文時代の遺跡の話からはじまります。(本郷キャンパスの隣であり東大農学部がある弥生キャンパスは弥生時代の名前の元になったことでも有名です!)
その後本郷キャンパスに直接つながる江戸時代の加賀藩邸の話に続き、本郷キャンパスの成立、成立後の展開について語られます。

とりわけ面白かったのは、関東大震災についての話です。関東大震災後本郷キャンパスの建築の1/3が使用できなくなったのですが、その際復興を任されたのが安田講堂の建築で有名な内田祥三でした。内田は赤門から安田講堂にいたる東西の軸線を中心に格子状に建築を配置し、キャンパスに統一を与えたとのことです。

私は建築や都市景観の分野には明るくないのですが、内田という一人の人が中心に大学の景観全体を整えたの言うのは並大抵のことではないと思います。東大に限らず、当たり前に歩いている町並みを単に風景としてみるのでは無く、街全体としてどのような景観が保たれているのか考えてみると、街歩きが断然楽しくなると思いました。私がよく訪れる上野公園にしても、広々とした噴水広場の奥に東京国立博物館を望む景観こそが素晴らしいと思います。噴水広場に建物が乱立していたら東京国立博物館がこれほど立派には見えないのでは無いかと感じました。

感染者数の増加で、外出がまたもやはばかられてきましたがこの本を手にとって、キャンパスを歩く気分に浸ってみてはどうでしょうか?


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