【六枚落ちマニュアル】第2部第2章第11節 9筋攻め定跡 ステップ3-3

◆本節では、9筋攻め定跡 ステップ3-3を解説します。これでステップ3が完了します。

上手が△3二金と寄った92図から解説を再開します。ここまで、下手が竜+成香+と金の3枚で順調に攻めています。
下手は▲5三と(93図)と寄ります。

5三のマスから、△4三銀を狙います。上手が△同銀と、このと金を取っても▲同成香で大丈夫です。上手はこれ以上銀を逃げることができないので、受けずに△5五歩(94図)と攻めます。

歩と歩がぶつかったら取るのが受けの基本です。しかし、この局面では下手の攻めのスピードの方が速いので、取らずに▲4三と(95図)と銀を取ります。

 上手は△同金(96図)と取ります。

下手は銀をはがして好調です。そして次は△4三金に狙いをつける▲9三竜(97図)が好手です。

三段目に竜を引くことで、金とその先にいる玉を狙うことができます。ちなみに、三段目に竜を引くなら▲9三竜に代えて▲8三竜(参考79図)もあります。

もちろん、これも自然な手です。むしろ、少しでも上手玉に近づく▲8三竜の方を推奨したいのです。ただし、細かいことですがここで上手に△6五角(参考80図)と打つ手があります。

この△6五角は攻防に役立つ角です。これを打たれて下手が不利ということはないのですが、▲8三竜と引いた形はこの時竜取りになるので、▲9三竜はそれを避けた手なのです。
では▲9三竜と引いた97図に戻ります。

97図に戻り、上手は△3五歩(98図)と突きます。

この△3五歩は次に△3四玉と玉を竜の利きから逃げる狙いです。さて、ここは下手のチャンスです。現在、△4三金が金縛りで動くことができません。そこでこの金を攻める▲5四銀(99図)が好手です。

▲5四銀に代えて▲4二金と攻める手も良い手です

 この▲5四銀が良い手で、次に下手の手番になれば▲4三竜、あるいは▲4三銀成とただで金を取ることができます。そして上手は△4三金が金縛りで動けず、△同金と取ることができません。
上手は△3四角(100図)と受けます。

この△3四角は金を支える手です。本当はこの角は攻めに使いたいところでしたが、やむをえません。ここで下手は▲4三銀成と金を取るのが普通の手ですが、△同角と取り返されます。そこで、取れる金を取らずに▲4二金(101図)と打つのが工夫の攻め方です。

この▲4二金は、金縛りの応用の技です。こうして▲5四銀、▲4二金と上手がこの二つの駒を取れないことを見越して、4三のマスを数の攻めで破ろうとしています。上手はこの▲4二金を「△同金」とも「△同玉」とも取れないことを確認してください。さらに△5四金と銀を取ることもできません。
受けがないので上手は△5六歩(102図)と攻めます。

下手はもちろん▲4三銀成(103図)と攻めます。

▲4三銀成に代えて▲4三金でもOKです

上手は△同角(104図)と取るしかありません。

下手は▲同竜(105図)と取ります。

▲同竜に代えて▲同金も良い手です

 ここで上手は△2四玉と△2二玉の2つの逃げ方があります。本手順とする△2四玉の方が長手数になりますので、先に△2二玉(参考81図)を解説します。

参考81図はいろいろな詰まし方があります。ここでは▲3二竜(参考82図)が推奨です。

▲3二竜に代えて▲3二金や▲3一角なども良い手です

上手は△1一玉(参考83図)と逃げます。

最後に▲1二金(参考84図)の頭金で詰みです。

▲1二金に代えて、▲2一金や▲2二金ももちろん詰みです。

では▲4三同竜と王手をかけた105図に戻ります。

今度は△2四玉(106図)と逃げます。

ここもいろいろな詰まし方があります。もっとも自然な手は▲4四竜(107図)と銀を取る手です。

▲4四竜に代えて▲3四金などでも詰みます

この▲4四竜のように、王手をかけつつ駒を取る手は価値が高く、良い手になることが多いのです。上手は△3四銀(108図)と受けます。

ここもいろいろな詰まし方があります。推奨は▲3三角(109図)と打つ手です。

3三に角を打つことで、1五に逃げる手を消しています。よって上手玉が逃げられるのは「1四」か「2五」です。どちらもほぼ同じ詰みになりますので、ここでは△2五玉(110図)と逃げます。

いよいよ詰みの場面です。下手は▲1五金(111図)と打ち、上手玉を詰ますことができました!

この局面で玉が1四にいても詰みですね

以上でステップ3が完了となります。
この「上手に馬を作らせない指し方」、一度試してもらえたらと思います。
 
次回は「9筋攻め定跡 ステップ4-1」です。


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