【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第2節 棒銀基本図までの手順

◆本節では、棒銀基本図までの手順を解説します。

では、棒銀定跡スタートです! 初形図から基本図まで進めましょう。初手はおなじみの△4二玉(1図)です。

この△4二玉は、居玉を避け、3三のマスなどを守っています。
下手(したて)は▲7六歩(2図)と突きます。

初手はやはり▲7六歩を推奨します。角が一気に使いやすくなるので、▲2六歩よりも価値が高いです。▲2六歩はその一手だけでは大きな成果はなく、次に▲2五歩と突いてこそ大きな意味を持ちます。(なお、このあたりは指し手の順番が多少違っても大丈夫です)
上手は△8二銀(3図)と上がります。

この△8二銀は、7三、8三、9三を守る意味です。上手の立場から見れば、まだ下手がどの作戦でくるか分かりません。よって9筋攻めに備える意味もあり、△8二銀とここで上がるのが上野流です。
下手は▲2六歩(4図)と突きます。

この▲2六歩で、下手は居飛車系統で攻めることを明示しました。
上手は△2二銀(5図)と上がります。

この△2二銀はおもに1筋と2筋からの攻めに備えています。
下手は▲2五歩(6図)と突きます。

この▲2五歩は、スズメ刺し定跡の際は「上手に△2四歩と突かせない」という意味でした。今回の棒銀の場合は、次に▲2四歩から一歩交換する目的があります。
上手は△3二金(7図)と上がります。

この△3二金は2筋を守る重要な手です。
これで2三のマスを金と銀の2枚で守ることができました。
下手は▲2四歩(8図)と突きます。

歩と歩がぶつかったので上手は△同歩(9図)と取ります。

下手はもちろん▲同飛(10図)と取り返します。

これで下手は2筋の歩を交換することができました。
これを将棋用語で「飛車先の歩交換(ひしゃさきのふこうかん)」と言います。初形図で飛車の上にいた▲2七歩を「飛車先の歩」と呼び、その歩を交換するからこう呼ばれています。
上手は△2三歩(11図)と打ちます。

この△2三歩は、もとの位置に歩を打ち、守りの形を修復する自然な手です。ただし、ここで△2三歩に代えて△2三金(ステップ4基本図)と上がる手もあります。

この△2三金は、下手の飛車先の歩交換に乗じて「てごわい△2三金型」を作る狙いです。これはステップ4で解説します。
では上手が△2三歩と打った11図に戻ります。

11図に戻り、下手は▲2八飛(12図)と引きます。

この▲2八飛に代えて▲2六飛など、他のマスに引く手もあります。これでも良いのですが、一般的に飛車は(斜めから)狙われやすい駒なので、こうして自陣に引いておくのが無難です。
上手は△6二金(13図)と上がります。

この△6二金は下手の攻めに備え、かつ△6四歩から△6三金など攻めに使うことも視野に入れた手です。
下手は▲3八銀(14図)と上がります。

いよいよ銀を動かします。棒銀ですから、この銀が攻めの主役です。
上手は△7四歩(15図)と突きます。

この△7四歩は次に△7三銀の活用を可能にする手です。
下手は▲2七銀(16図)と上がります。

下手は銀を進めます。
上手は△7三銀(17図)と上がります。

上手も攻めの態勢を作りつつあります。
下手は▲2六銀(18図)と上がります。

ここが本来の棒銀の位置です。しかし、今回の棒銀は銀を2五まで進めます。なお、この▲2六銀に代えて▲3六銀や▲1六銀でもOKです。最終的に▲2五銀の形にすればよいので。
上手は△5四歩(19図)と突きます。

この△5四歩は次に△5三玉や△5三金を可能にした手です。
下手は▲2五銀(20図)と進みます。

この▲2五銀でようやく銀をセットすることができました。この棒銀定跡では、上手の弱点である1筋を狙います。
上手は△6四歩(21図)と突きます。

この△6四歩は△6三金の活用を可能にしたり、△6五歩と突いて下手の▲6六角を防ぐ狙いなどがあります。
下手は▲1六歩(22図)と突きます。

銀を繰り出した後は、歩を突いて1筋を攻める準備です。
上手は△6三金(23図)と上がります。

この△6三金は、次に△6五歩から△6四銀と上がった後で、銀と協力して攻める狙いがあります。
下手は▲1五歩(24図)と突きます。

これでようやく1筋を攻める準備が整いました。
上手は△6五歩(棒銀基本図)と突きます。

この△6五歩は、△6四銀の活用と「▲6六角の活用を防ぐ」意味があります。この局面が棒銀基本図となります。

次回「棒銀定跡 ステップ1」では、ここから▲1四歩と仕掛ける順を解説します。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?