【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第1節 棒銀定跡の基本

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◆本節では、棒銀定跡の基本を解説します。

今回から新章「棒銀定跡」がスタートです。

1,棒銀定跡って何ですか?

 棒銀定跡とは、棒銀基本図(↑)のように▲2五銀と配置して▲1四歩から攻める作戦です。
通常、棒銀とは▲2六銀の形から▲1五銀、あるいは▲3五銀と出る形を指します。しかしその攻め方では上手陣を破れないので、このように工夫して攻めます。なぜこうした攻め方をするのか、簡単に説明しましょう。

A図は普通の棒銀で攻める一例です。銀を3五に進み、▲2四歩からの攻めを狙います。▲3五銀を▲1五銀に代えても意味は同じです。ではA図で▲2四歩(B図)と攻めてみます。

上手は自然に△同歩(C図)と取ります。

下手も自然に▲同銀(D図)と取ります。

上手はこの銀を追い返すために△2三歩(E図)と受けます。

そう、この局面が問題なのです。
六枚落ちでは2三のマスを△2二銀と△3二金の2枚で守っており、2三のマスは「攻め駒2枚対守り駒2枚」です。よってE図で下手はこれ以上攻めることができず、▲3五銀あるいは▲1五銀と引くしかありません。
以上「普通の棒銀ではうまくいかない」ことを説明しました。ではあらためて棒銀基本図を確認しましょう。

今回解説する棒銀は、2筋を破るのではなく1筋を破る棒銀です。歩+銀+香の3枚で「1四」と「1三」のマスを破ります。 

2,棒銀定跡はどれくらい指されている?

棒銀そのものは好きな方が多いです。しかし上記の理由により普通の棒銀では破れないため、六枚落ちではあまり指されていません。 

3.棒銀定跡はどれくらい本で解説されている?

 六枚落ちの定跡は「スズメ刺し」と「9筋攻め」がメインであり、棒銀定跡はあまり本で解説されていません。主な駒落ちの本でいえば、高橋道雄九段著「棒銀と中飛車で駒落ちを勝て」にて解説されています。

4,棒銀定跡の長所は?

棒銀という戦法自体は平手でもよく指されます。よって平手で棒銀が好きな方にとっては取り組みやすいですし、その経験が平手に生きやすいのではないかと考えます。

5,棒銀定跡の短所は?

早い段階で銀交換になるので、上手がその銀を使って反撃する可能性が高いです。(9筋攻めのように角で反撃されるよりは攻撃力が低いですが…)

6,棒銀定跡を指しこなすコツは?

まずは銀を使って上手陣を確実に破ることが大事です。
次に、上手の銀を使った攻めにうまく対応することも大事です。 

7,上手の指し方はどんなステップに分かれている?

棒銀定跡は以下の4つのステップに分かれています。

ステップ1 基本定跡
ステップ2 上手▲1三銀成を放置作戦
ステップ3 上手△5五歩止め
ステップ4 上手△2三金型の工夫

  
以上、棒銀定跡の基本でした。
次回は「棒銀定跡の基本図までの手順」です。


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