【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第13節棒銀定跡 ステップ4-4

◆本節では、棒銀定跡ステップ4-4を解説します。

前回のステップ4-3では、上手が△2三銀と補強したところまで解説しました。
さて、このてごわい△2三銀に対してどう攻めるか。今回は桂を使う新しい攻め方を解説します。まずは▲2五歩(136図)と合わせます。

この▲2五歩は「合わせの歩」です。攻撃開始の時にも指したので、2度目ですね。その時は▲3六銀がいて、銀を前進させる目的だと分かりましたが、今回は違う狙いです。
上手は△同歩(137図)と取ります。

ここで普通なら▲同飛ですが、△2四歩と打たれると攻めが続きません。ここでは▲1七桂!(138図)が継続の好手です。

右の桂は▲3七桂と使うのが基本です。3七に跳ぶことで、次に2五と4五、二つのマスに進むことが可能です。しかしこの場合は目的(2五に跳ぶ)がはっきりしているので、1七からでも良いのです。そして先ほどの▲2五歩の合わせ歩が、次の▲2五桂を可能にしています。
上手は△5二金(139図)と上がります。

この△5二金は、次に△4三金と上がって4四のマスを守ろうという手です。下手は予定通り▲2五桂(140図)と跳ねます。

桂という駒は攻めのスピードが速いです。初期配置の2九から2手進めただけでもう2五に進むことができました。銀だとこうはいきません。反面、桂は進むマスが限られているので、使う時は工夫が必要になります。
この▲2五桂は銀取りですので、上手は△2二銀(141図)と逃げます。

この△2二銀は、銀取りから逃げるとともに、次に△2四歩と桂を捕獲しようという手です。せっかくここまで進めた桂を捕獲されたくないので、下手は急いで攻める必要があります。よって▲4四角(142図)と出ます。

この▲4四角は気持ちの良い角の活用です。上手の銀が3三から離れたので可能になりました。そしてこの▲4四角は、上手の狙いである△2四歩を防いでいる意味があります。142図で本手順は△4三金と受ける手ですが、代えて△2四歩(参考128図)と打ったらどうすればよいか考えます。

この△2四歩は桂取りです。しかしその前に▲4四角と進めたことで、3三のマスへの数の攻めが可能になっていました。現在3三のマスは「攻め駒2枚対守り駒2枚」です。そこで▲3三金(参考129図)が好手です。

この▲3三金で数の攻めが決まりました。上手は△同銀(参考130図)と取るしかありません。

下手はこの銀を取り返します。角と桂どちらでも取れます。おススメは取られそうな桂を使う▲同桂成(参考131図)です。

これで下手の攻めが成功です。以下△4一玉と逃げれば下手はさらに▲2三成桂と銀を取ることができます。
以上、上手が△2四歩と打つ手は下手良しになりました。142図に戻ります。

では本手順の△4三金(143図)の解説に進みます。

この△4三金は、3三のマスを守ると同時に角取りです。
ここが下手にとって大事な局面です。以下の2つの選択肢があります。
1)▲6六角(角を切らずに攻める)
2)▲2二角成(本手順、一気に決める)

結論から言えば、どちらも良い手です。まずは1)▲6六角(参考132図)を解説します。

この▲6六角は、ただ角を逃げただけではなく、次に▲9三角成の狙いもあります。ただし、この局面で上手は▲9三角成を受ける余裕はなく、△2四歩(参考133図)と打つのが大事です。

これで桂を捕獲されました。ここで下手は▲9三角成と成ることはできるのですが、角がそっぽにいってしまいます。ここでは▲1三桂成(参考134図)がおススメの攻め方です。

上手は△同銀(参考135図)と取ります。

下手はこれで桂損です。しかし△1三歩をはがしたことで、1筋を攻めやすくなりました。そこで▲1四歩(参考136図)と攻めます。

この▲1四歩の後ろに▲1九香が控えています。上手は△2二銀と逃げると▲1三歩成と攻め込まれますので△同銀直(参考137図)と取ります。

下手は▲同香(参考138図)と取ります。

上手は△同銀(参考139図)と取り返します。

今のやり取りは下手から見て「桂香と銀の交換」であり、下手がやや駒損です。しかしそれよりも次の▲2四飛(参考140図)が気持ちの良い一手です。

下手はようやく飛車を働かせることができました。
次に▲2二飛成、そして▲1四飛と銀を取る手を狙っています。そこで上手は△2三銀(参考141図)と引きます。

この△2三銀は、銀取りを受けると同時に▲2二飛成も消し、さらに飛車取り。一石三鳥の手です。
下手はここで飛車を逃げると攻めが一段落しますので、逃げずに▲2二金(参考142図)が好手です。

この▲2二金は「王手金取り」です。上手は△4二玉(参考143図)と逃げるしかありません。

△4二玉に代えて△4一玉と逃げてもほぼ同じことでです。

下手はもちろん▲2三飛成(参考144図)と銀を取ります。

こうなれば下手大成功です。
以上、△4三金に▲6六角と落ち着いて引く手も良い手です。▲6六角以下、▲1三桂成から▲1四歩で1筋、そして2筋を攻める一連の手順は平手に応用できます。

143図に戻ります。

では、一気に決める2)▲2二角成(144図)の解説に進みます。

この▲2二角成は決断の一手です。角銀交換の駒損を覚悟しています。上手は△同玉(145図)と取ります。

ステップ4-4は以上です。ここから下手が一気に2筋を破る手順があります。
次回「棒銀定跡ステップ4-5」では、ここから上手玉を詰ますまでを解説します。


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