【六枚落ちマニュアル】第2部第5章第13節 四間飛車定跡 ステップ4-4

◆本節では、四間飛車定跡ステップ4-4を解説します。

前回のステップ4-3では、上手が△4三同玉と「と金」を取った168図まで解説しました。では解説再開です。
現在、下手の角が狙われている状況です。そこで▲2二角成と逃げながら角を成る手も自然ですが、もっと良い手があります。▲4八飛(169図)です。

この▲4八飛は、角を成る前に飛車も働かせようという手です。上手は△5二玉(170図)と逃げます。

この▲4八飛と△5二玉の2手を指した状態なら▲3三角成(171図)と成ることができるのです。

下手は工夫を重ね、飛車と角を同時に活用した感じです。そして次の下手の手番で▲4二飛成と成りこめば、△6一玉に▲7二金で上手玉を詰ますことができます。つまりこの▲3三角成は「詰めろ」です。そこで上手は△6一玉(172図)と逃げます。

玉が5二にいたままでは危険なので、上手は先に玉を逃げました。下手はそれでも▲4二飛成(173図)と成ります。

この▲4二飛成は、玉を攻めるよりも「玉が逃げるマスをふさぐ手」です。この▲4二飛成で5一、5二、6二、7二の4つのマスをふさぐことができています。(正確に言えば5一のマスは既に馬でふさがれていましたが)
そして、次の下手の手番で▲7二金と打つ詰みを狙っており、この▲4二飛成も「詰めろ」です。上手は△6二銀打(174図)と受けます。

この△6二銀打は下手の竜の利きを止め、さらに5一のマスも守っています。下手は▲8三金(175図)が好手です。

この▲8三金は「挟み撃ち」の手です。そしてこの▲8三金も、少し長い手順になりますが「詰めろ」になっています。それを確かめるために175図で上手が受けずに△7六銀成(参考133図)と指してみます。(本手順の△7一玉は後ほど解説します)

では上手玉を詰ましましょう。まずは▲4一竜(参考134図)と王手をかけます。

上手玉の逃げるマスはなく、この王手を受けるとしたら合駒をするしかありません。合駒と言っても6二の銀を動かす△5一銀は▲同竜で詰みです。よって△5一金(参考135図)と受けます。

この△5一金は合駒をしたと同時に竜取りです。しかしここで竜を逃げるのでは失敗ですので強く▲同馬(参考136図)と切ります。

上手は素直に△同銀(参考137図)と取ります。

そして今取った金を▲7二金打(参考139図)と打てば詰みです。

と言うわけで、▲8三金と打った手が詰めろだと分かりました。175図に戻ります。

あらためて175図。この▲8三金が詰めろだと分かったので、上手は受ける必要があります。では本手順の△7一玉(176図)の解説に進みます。

この△7一玉は玉を竜や馬から遠ざけた手です。この手に対して先ほどと同じように▲4一竜と王手をかければ、今度は△6一金と打てば詰みません。
そこで下手は▲4四馬(177図)と馬を引きます。

この▲4四馬も「詰めろ」です。ここは上手に3つの選択肢があるので順に解説します。
1)△7六銀成(詰めろを受けない)
2)△7二金(△6二銀を守る)
3)△8一玉(玉の早逃げ・本手順)
まずは1)△7六銀成(参考139図)から。

この△7六銀成は受けずに攻めた手です。ここでは▲6二馬(参考140図)と切る手が好手です。

上手は△同銀(参考141図)と取ります。

下手は今取った銀を▲7二銀(参考142図)と打てば詰みです。

よって▲4四馬と引いた手が詰めろだと分かりました。177図に戻ります。

続いて2)△7二金(参考143図)と受けたらどうするか。

この△7二金は△6二銀を守り、見た目にもとても堅いです。しかし、持ち駒の金を使ってしまったので下手に好手があります。▲4一竜(参考144図)です。

この▲4一竜で、実は上手玉が詰んでいるのです! 玉が逃げるマスはないので合駒するしかないのですが、△5一歩や△6一歩は二歩ですし、▲4四馬の利きがあるので△5一銀と引くこともできません。
では再び177図に戻ります。

あらためて177図。
では本手順の3)△8一玉(178図)の解説に進みます。

この△8一玉で馬の利きから玉を逃げることができました。それでも下手は同じように▲6二馬(179図)と切ります。

この▲6二馬に代えて▲4一竜や▲7三金も良い手です

上手は△同銀(180図)と取るよりありません。

そして今取った銀を▲8二銀(181図)と打てば詰みです。

見事に上手玉を詰ますことができました。
これでステップ4および四間飛車定跡が完了です。
次回からは「第2部第6章 中飛車定跡」がスタートします。なお、7月は上野の仕事が特に多いため、次回「中飛車定跡の基本」は7月の更新をお休みして8月1日に公開予定です。のんびりお待ちいただければ幸いです。


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