現役を引退いたします

私、上野裕和は、この令和5年3月をもって現役を引退いたします。
はじめに、
公式戦で対戦していただいた皆様、
記録を取っていただいた皆様、
新聞社をはじめとするスポンサーの皆様、
報道、対局室設営、その他さまざまな将棋関係者の皆様、
家族、大切な友人の皆さん、
何より、上野裕和を応援し、支えてくださった皆様に、
厚く御礼を申し上げます。
なお、まだ対局が残っている棋戦があります。
これらの対局が指せることに感謝し、良い将棋を指したいと思います。
 
ありがたいことに、数年前から教室やレッスンなどの指導のお仕事が増えました。加えて自身で教室等を開講したこともあり、現在では、第1から第4までの土日がほぼ指導で埋まる生活をしております。
平日の指導、執筆、平手の指導で必要な最新の序盤研究も合わせると、生活はこれまでとさほど変わらないと思います。
   
全国各地の天才少年少女が集まる奨励会において、
14歳で入会、19歳で1級と歩みの遅かった私が、
幸運にも棋士になることができました。
そして、強い棋士の皆様と数多く対戦することができました。
鍛えてくれた先輩、同年代、後輩の皆様をはじめ、多くの方のおかげです。
   
私は、現役の棋士としてはほとんど実績を残すことができていません。
それはもちろん自分自身の努力不足が一番の原因です。
一方で、私の立場で語るのは適切ではないかもしれませんが、
先輩、同年代、後輩の棋士の皆様が将棋に情熱を持ち続け、
日々研鑽を積む素晴らしい方ばかりであり、
本当にレベルの高い世界だと感じています。
 
棋士になってから22年、
対局をはじめとして、さまざまな機会を頂きました。
教室や全国各地での指導、イベント出演、
さまざまな執筆活動、
また短い期間ではありましたが、理事として将棋連盟の運営に携わらせていただいたことなど。
こうした活動や、全国各地の皆様と交流させていただいたことは、
私の貴重な経験です。
一方、恥ずかしい失敗や、人にご迷惑をかけたこともたくさんあります。
これまでの失敗は反省し、大事な教訓として今後に生かしたいと思います。
 
今後は、指導と執筆を中心に活動させていただく予定です。
誰かの上達の手助けをするという活動は、
とても奥が深いと改めて感じます。
師匠の自宅教室で初めて指した指導対局から約30年が経ち、
ある程度の指導経験を積んできたつもりですが、
それでもまだまだ分からないことばかりです。
上達するためには何が必要なのか、
そしてどのような伝え方がベストなのか。
試行錯誤をしながら、一歩ずつ前進したいと思います。
 
そうして得た指導の現場における経験をもとに、執筆して出版することで、
より多くの方の上達の手助けができればと考えております。
   
皆様のお力添えを頂き、今後も成長を続けたいと思います。
自分が成長することで、ささやかながら将棋界に貢献できれば幸いです。
これからも教えてください。どうぞよろしくお願いいたします。
 
令和5年3月31日 上野裕和

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