【六枚落ちマニュアル】第2部第1章第14節 スズメ刺し定跡、ステップ4-5

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◆本節ではスズメ刺し定跡、ステップ4-5を解説します.。

さて、140図は▲5八歩と上手の攻めをしっかり受けた局面です。ここから解説を再開します。
 
上手はこれ以上の攻めが難しく、△4四歩(141図)と突きます。

この△4四歩は上手にとって重要な手で、玉を4三に逃がすルートを作っています。
下手はここから攻めます。まずは▲2四歩(142図)と突き捨てます。

上手は△同歩(143図)と取ります。

下手は▲同馬と取り返すのではなく、▲1一歩成(144図)と成り捨てるのが好手です。

通常、と金を作ってもただで取られるのは損です。しかしこの場合は、この▲1二歩があるとのちに邪魔になるので、捨てるのが良いです。
上手は△同金(145図)と取るのが自然です。

この△同金を本手順として解説しますが、上手の変化として△同金と取らずに△2二金(参考134図)と逃げる手を先に解説します。

この△2二金は、金取りを逃げつつ、逆に馬取りにした手です。ここで▲2四馬と逃げていても悪くはないのですが、鮮やかな決め手があるので解説します。なんと▲同馬!(参考135図)と切ってしまうのです。

大駒で、その駒より価値が低い駒(主に小駒)と交換することを「切る」と言います

上手は△同玉(参考136図)と取ります。

さあ、ここから一気に上手玉を詰まします。まずは▲1二飛成(参考137図)が強烈な王手です。

玉の隣に竜が来ただけで、上手玉の逃げ道が激減したことを確認してください。2三にも3二にも逃げられず、上手は△3一玉(参考138図)と逃げるしかありません。

そして▲3二金(参考139図)の頭金で見事な詰みです。

こんな風に鮮やかに詰まして勝てたら最高ですね! ただしすぐには難しいので、まずはこうしたパターンがあると知るだけで十分です。
 
145図に戻ります。

あらためて145図。▲1一とを△同金と取った局面です。ここで下手は▲2三銀(146図)と攻めます。

この▲2三銀は玉を逃がす攻めなのであまり筋が良い手とは言えないのですが、上手の金を確実に取るための手です。上手は△4三玉(147図)と逃げます。

下手は▲2二銀成(148図)で金を攻めます。

上手は△同金(149図)と取ります。

下手は▲同馬(150図)と取ります。

これで下手は上手陣の守りを突破し、いつでも飛車を成れる状態になりました!
 
上手は△8八銀(151図)と反撃します。

この△8八銀は▲7八銀と上がったからこそ生じた攻めです。次に「△9九銀成で香を取る」か、場合によっては「△8九銀不成と桂を取って攻める」を狙っています。
下手は特に▲9九香を受けるのが難しいので、受けに回らず攻めます。
ここは下手の選択肢がある局面です。以下の3つを順に解説します。
1)▲1一飛成
2)▲1三飛成
3)▲1二飛成(推奨)

まずは1)▲1一飛成(参考140図)から。
上手の玉が三段目にいる状態で一段目に成る▲1一飛成は、あまり良い手にならないことも多いです。しかしこの場合は有力な手です。上手が△9九銀成(参考141図)と指したとします。

ここで▲4一竜(参考142図)が竜と馬の働きを生かす攻め方です。

この▲4一竜は王手をかけつつ、△5二金を狙った手でもあります。上手は△4二金(参考143図)と寄って受けてみます。

この△4二金は、王手を防ぎつつ竜取りにした手です。このような手を指されると反射的に竜を逃げたくなる方も多いと思いますが、ここは▲3二馬!(参考144図)が好手です。

この▲3二馬は「一間竜」の好手です。後手が△同金、△同玉、いずれも取れないことを確認してください。また、王手なので△4一金と竜を取ることもできません。この▲3二馬のような手がパッと浮かぶようになればしめたものです。参考144図は、上手は玉を逃げる一手になり、下手は次の手番で必ず金をただで取ることができます。よって下手成功です。
 
参考142図に戻ります。

先ほどは、ここで上手は△4二金と指したので、▲3二馬が決まりました。上手としては、△4二金に代えて△5三玉(参考145図)の方が良いです。

ただしこの局面も、下手には▲3二馬や▲3一馬など攻める手があり、下手優勢です。よって、1)▲1一竜は良い手です。

次に2)▲1三飛成(参考146図)を考えます。
これは3三のマスを狙う攻め方です。上手は△9九銀成(参考147図)と攻めます。

下手は狙い通り▲3三竜(参考148図)と攻めます。

上手は△5四玉(参考149図)と逃げる一手です。

下手は馬を使う▲3二馬(参考150図)で追撃します。

上手は馬と竜の利きを止めるために△4三香(参考151図)と指します。

このあとも、▲4二金や▲3四金など、適切に攻めれば下手良しではあります。よって2)▲1三飛成も良い手です。
 
151図に戻ります。

この局面で▲1一竜、▲1二竜、▲1三竜、どれも有力な手です。その上で、私の感覚としてはここは二段目に成る3)▲1二飛成(152図)がベストだと思いますので、これを本手順とします。 

下手は次に▲3二馬を狙っていますので、上手は△4二金(153図)と受けます。

下手は攻めを継続します。ここも▲3二金や▲3一馬など有力な手がある中で、本マニュアルでは▲2一馬(154図)を本手順とします。

さて、ここで上手がどう受けるかという局面で、ステップ4―5は以上です。 
かなり長くなりましたが、次回「ステップ4-6」でこの定跡が完了します。 


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