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看護師国家試験 疾病の成り立ちと基本的な病変 4

免疫機能の障害

1.膠原病

病変部位の結合組織の膠原線維に、粘液性膨化がみられるという共通の病理組織学的変化をもつ一群の全身性慢性炎症性疾患を膠原病という。
古典的には、リウマチ熱、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性進行性硬化症、結節性多発動脈炎、皮膚筋炎の6疾患を膠原病と呼んでいたが、現在では類縁疾患をも含め、より広義に膠原病とする。
全身の血管および結合組織にフィブリノイド変性がみられ、多臓器に病変を起こすところから結合組織病ともよばれる(結合組織病)。
膠原病では疾患に特異的な抗核抗体などの自己抗体が高率に検出され、その発症には免疫機序の異常が関与すると考えられている。

2.全身性エリテマトーデス(SLE)

抗DNA抗体とDNAにより形成される免疫複合体が組織に沈着し補体が活性化することにより起こる全身性の自己免疫性疾患である。
女性に好発し(男女比1:9)、発症年齢は20-40歳代が多い。
顔面紅斑、円板状皮疹、光線過敏症、口腔内漬瘍、関節炎(2関節以上で破壊性)などが特徴で、検査所見として免疫学的異常(抗二本鎖DNA抗体高値または抗Sm抗体陽性または抗リン脂質抗体陽性)や抗核抗体陽性、などがみられる。
治療にはステロイド薬や免疫抑制薬が用いられ、死因としては感染症、中枢神経障害、腎不全などがある。

3.関節リウマチ

最も頻度の高い自己免疫疾患で、多発性の関節炎を特徴とし、若年層では女性が(男女比1:3)、高齢者では男性が多くなる。
関節滑膜に炎症細胞浸潤が起こり、これが進行することにより関節の破壊、変形が起こる。
手指の朝のこわばりが初発症状であることが多く、寛解と増悪を繰り返しながら、次第に関節の変化や骨破壊が起こる。
治療は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)とよばれる薬剤が使われることが多く、最近は、ヒト型モノクローナル抗体(抗TNFα抗体、抗IL-6受容体抗体)や可溶性TNFα受容体製剤などが用いられる。

4.シェーグレン症候群

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