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第3章 主な医薬品とその作用3

眼科用薬


▢ 1.眼科用薬の種類
眼科用薬は結膜嚢に適用する外用薬で、(1)点眼薬、(2)洗眼薬、(3)コンタクトレンズ装着液の3つに大別できる。
一般用医薬品の点眼薬は、次のように大別される。(1)一般点眼薬、(2)人工涙液(涙液成分を補い、目の疲れや乾き、コンタクトレンズ装着時の不快感を和らげる)、(3)抗菌性点眼薬(結膜炎やものもらい、眼瞼炎等に用いる)、(4)アレルギー用点眼薬(花粉、ハウスダスト等による目のアレルギー症状を緩和する)。
 
▢ 2.点眼薬の効果
点眼薬は、一度に何滴も点眼しても効果が増すわけではなく、むしろ副作用を起こしやすくなる。
1滴の薬液の量は約50μLであるのに対して、結膜嚢の容積は30μL程度であるため、一度に何滴も点眼しても効果が増すわけではなく、むしろ鼻粘膜や喉から吸収されて副作用を起こしやすくなる。点眼後は数秒間まぶたを開じて、目頭を軽く押さえ、薬液を結膜嚢内に行き渡らせる。
 
▢ 3.点眼薬の使用上の注意
コンタクトレンズを装着したままで点眼薬を使用することは、添付文書に使用可能と記載がない限り行わないことが望ましい。
特にソフトコンタクトレンズは水分を含みやすく、防腐剤などの配合成分がレンズに吸着されて角膜に障害を起こすことがあるため、装着したままの点眼を避けることとされる製品が多い。ただし、 1回使い切りタイプの防腐剤を含まない製品では、装着時にも使用可能なものもある。
 
▢ 4.眼科用薬副作用
眼科用薬では、局所性の副作用として目の充血、痒み、腫れ、全身性の副作用として発疹、発赤、痒み等が現れることがある。
局所性の副作用は点眼薬が適応とする症状と区別しにくいため、一定期間使用しても改善されない場合は専門家に相談する。また、全身性の副作用は、それらの原因が眼科用薬によるものと思わずにアレルギー用薬や外皮用薬が使用されることがあるので、購入者に対する適切な助言が必要である。
 
▢ 5.目の調節機能を改善する配合成分
メチル硫酸ネオスチグミンは、目の調節機能に関与するアセチルコリンの働きを助け、目の調節機能を改善する。
目を酷使すると、目の調節機能に関与するアセチルコリンを分解するコリンエステラーゼの働きが活発になり、目の調節機能が低下して疲れ目などの症状が生じる。メチル硫酸ネオスチグミンはコリンエステラーゼの働きを抑制してアセチルコリンの働きを助け、目の調節機能を改善する。
 
▢ 6.目の充血、炎症を抑える配合成分
塩酸ナファゾリン等のアドレナリン作動成分は、結膜の血管を収縮させて目の充血を除去することを目的として用いられる。
抗炎症成分である塩化リゾチーム等は比較的緩和な作用を示し、イプシロンーアミノカプロン酸は、炎症物質の生成を抑えて目の炎症を改善する。アズレンスルホン酸ナトリウム等の組織修復成分は、眼粘膜の組織修復を促す。収斂成分として硫酸亜鉛が配合されている場合がある。
 
▢ 7.目の痒みを抑える配合成分
塩酸ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン成分は、ヒスタミンの働きを抑えることにより目の痒みを和らげる。
クロモグリク酸ナトリウムは抗アレルギー成分で、肥満細胞からのヒスタミンの遊離を抑え、花粉やハウスダストによる目のアレルギー症状を緩和する。アレルギー性でない結膜炎には無効で、抗ヒスタミン成分とともに配合される。
 
▢ 8.その他の成分
スルファメトキサゾール等のサルフア剤は、細菌感染による結膜炎等の化膿性の症状を改善することを目的として用いられる。
そのほか、無機塩類(リン酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム等)、ビタミン成分(ビタミンAは視力調整、ビタミンB2は、明暗順応の補酵素、ビタミンB5は、目の調節機能の回復、ビタミンB6は、目の疲れの症状の改善、ビタミンB12は、目の調節機能の補助、ビタミンEは、結膜充血、疲れ目の改善)、アミノ酸成分(新陳代謝を促して目の疲れを改善する)等が配合される。
 

皮膚に用いる薬

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