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看護師国家試験 疾病の成り立ちと基本的な病変 1

基本的な病変

1.萎縮

組織や臓器がその性状に異常を起こさずに、容積のみが小さくなることを萎縮といい、細胞の容積の減少である単純萎縮と、細胞数の減少である細胞性萎縮がある。
萎縮は原因別に、老人性萎縮、無為萎縮 (廃用萎縮)、圧迫萎縮、神経性萎縮などに分類される。
老人性萎縮は一種の生理的萎縮(退縮ともいわれる)であり、無為萎縮(廃用萎縮)は長期間臥床で両下肢が次第にやせ細ってくるような萎縮をいう。
圧迫萎縮は長期間にわたる圧迫で組織・臓器が萎縮すること、神経性萎縮は、ある筋肉を支配している神経細胞が変性したり、神経線維が切断されて生じた筋肉の萎縮を指す。

2.細胞の変性

変性は種々の傷害因子により組織や細胞の機能が減退・低下した状態でみられる形態学的変化で、傷害因子が除去されると正常に復することができる可逆的変化である。
変性には、脂肪変性、硝子滴変性、糖原変性、粘液変性、角質変性、硝子様変性、アミロイド(類デンプン)変性、膠様変性、粘液様(ムコイド)変性、石灰変性、結晶性変性などがある。
硝子(ヒアリン)滴変性や角質変性などは、細胞機能の減退・低下した状態よりもむしろ細胞機能の亢進状態によるものとみなされる。
脂肪変性や糖原変性の多くは、代謝異常による中間代謝物質の蓄積とみなされる。

3.壊死

壊死とは生体の局所の組織・細胞の死をいい、種々の疾病や外傷、細菌毒素などによって生じる。
壊死組織の種類、位置(体内か体表か)などにより、凝固壊死と融解(液状)壊死に大別される。
凝固壊死は腎・心・脾などにみられる貧血性梗塞が代表で、局所の虚血により生じ、壊死組織はかたく凝固するのが特徴で、腸チフスにみられる蝋様変性、結核などにみられる乾酪壊死などがある。
融解壊死は壊死組織が速やかに軟化、融解するもので、組織に凝固すべきタンパク質が不足する場合に起こり、脳軟化症などがこれにあたる。

4.アポトーシス

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